岸井ゆきのが拳を突き出し、涙をこらえる美しい瞳 ベルリン出品作「ケイコ 目を澄ませて」予告&ポスター
2022年9月15日 08:00

岸井ゆきのと三浦友和が共演し、第72回ベルリン国際映画祭のエンカウンターズ部門に正式出品された三宅唱監督作「ケイコ 目を澄ませて」の予告編とポスタービジュアルがお披露目。生まれつきのと聴覚障がいと向き合いながらプロボクサーとなった主人公・ケイコを演じた岸井が拳を突き出し、涙をこらえる美しい瞳が、強烈なインパクトを放っている。あわせて公開日は、12月16日に決定した。
本作は、「きみの鳥はうたえる」の三宅監督が、耳が聞こえない元プロボクサー・小笠原恵子氏の自伝「負けないで!」(創出版刊)をもとに、彼女の生き方に着想を得た物語。両耳の聞こえないプロボクサー・ケイコと、視力を失いつつあるボクシングジムの会長(三浦)の交流を描く。
ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえないなか、じっと“目を澄ませて”闘うケイコを、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など、さまざまな感情の間で揺れ動きながらも、一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の女性として描き、彼女の心のざわめきを16ミリフィルムに焼きつけた。2月に行われたベルリン国際映画祭でプレミア上映されると、「瞬きを許さない」「すべての瞬間が心に響く」「間違いなく一見の価値あり」と絶賛が寄せられ、世界の映画祭での上映が続々と決定している。
予告編が映すのは、ケイコの心のざわめきと眼差し。嘘がつけず、愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつき両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある、小さなジムを拠りどころにする彼女は、トレーナーに「痛いのはきらい」と伝えて「正直やな」と突っ込まれ、弟から気持ちを聞かれても「どうせ人はひとりでしょ?」と突っぱねる。そんな不器用な彼女には悩みが尽きず、「一度お休みしたいです」としたためた手紙を会長に渡すことができず、うまく伝えられない思いを抱えたまま、ある日、ジムの閉鎖を告げられる。
「逃げ出したい、でも諦めたくない」――そんな矛盾した感情に葛藤しながら、ひたむきに生きるケイコと、彼女を案じて寄り添う周囲の人々を、三宅監督が16ミリフィルムのあたたかな質感で、優しく切り取る。最後は、「才能はないけど、人間としての器量がある」と、誰よりもケイコの実直さを認めている会長とシャドーボクシングをするケイコが切り取られている。
ポスターは、リングのふちに座り視線を送るケイコの瞳が印象的な1枚。その眼差しや佇まいから、彼女が置かれている環境や心の声が浮かび上がる、エモーショナルなビジュアルに仕上がった。
「ケイコ 目を澄ませて」には、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子らも出演。12月16日から東京・テアトル新宿ほか全国で公開される。
(C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINEMAS
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