この映画の行方によって、キャリアが決まる――エルヴィス・プレスリーを演じたオースティン・バトラーの覚悟
2022年6月7日 12:00
ロックの王様、エルヴィス・プレスリーの人生を、「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督が描いた「エルヴィス」が、7月1日から公開される。ほぼ全編に渡り吹き替えなしでプレスリーを演じたオースティン・バトラーがオンライン取材に応じ、本作について語った。
ビートルズやクイーンなど多くのアーティストたちに多大な影響を与えたプレスリーだが、彼が頂点に立つまでには、知られざる険しい道のりがあった。若き日のエルヴィスは、米ルイジアナの小さなライブに出演し、当時誰も聞いたことのなかったロックと、センセーショナルなダンスを披露する。若者たちはエルヴィスに熱狂し、彼は瞬く間にスターダムを駆け上がるが、そのパフォーマンスは社会の大きな反発を生むことになる。
現在30歳のバトラーは、2006年、ディズニー・チャンネル「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」でデビュー。その後も「屋根裏のエイリアン」(09・日本劇場未公開)、「ハイスクール・ミュージカル」のスピンオフとなるTV映画「シャーペイのファビュラス・アドベンチャー」(11)、「コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団」(16)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19)などにも出演しており、本作を機に本格ブレイクが期待される。
バトラーは1年以上にわたり週6日以上、ボイストレーナーやムーブメントコーチら専門家の猛特訓を受け、ラーマン監督に「エルヴィスそのもの」と言わしめた。見た目や動きはもちろん、特に“人間性”を重視したそうで、役作りについて明かす。
「何よりも表現したのは人間性で、エルヴィスの魂を感じさせたかったんです。それと同時にみんなが知っているエルヴィスに迫りたいという気持ちもありましたが、声の使い方や癖など全部表現しようとすると、蝋人形のようになってしまいます。そういうものにならずに彼の魂や内なる命をいかに感じさせられるのかは、常に念頭に置いていました」
そのためにドキュメンタリーやホームビデオを見てリサーチを重ねたほか、「親を失う悲しみにも共感することができたので、そういったことが一つ一つ、彼の人間性を知るカギになりました」と振り返る。
エルヴィスを深く知っていくなかで、バトラーが初めて挑んだライブシーンの撮影では、自身とシンクロする場面があった。
「1968年の復活ライブシーンが僕の初めてのライブ撮影シーンでした。撮影する前はプレッシャーも大きくて、怖かったんです。撮影前の控室で自分自身と会話をしました。そこで、このライブにはエルヴィスのキャリアがかかっている瞬間でしたが、自分も気持ちのうえでは同じだと気付いたんです。大きなプレッシャー、キャリアや人生がかかっています。でも、そういう気持ちから逃げるのではなく、逆にそれをエネルギーとして観客に向けて演じました。そういったことは今回の撮影中にたくさんあって、エルヴィスはこういう状況でこういう風に感じていたんじゃないかなって思った瞬間は何度もありました」
本作では、エルヴィスと元妻プリシラ・プレスリーとのドラマも描かれる。プリシラ本人も本作を鑑賞したそうで、バトラーは「バズ(・ラーマン監督)とディナーに行く途中、彼から初めてプリシラの感想を教えてもらいました。エルヴィスの人生に見合うものを作ってくれたと言っていたと聞いて、涙が出そうになりました。すごく嬉しかったです。その後、プリシラとニューヨークのメットガラで会ったときに、もっと詳しくどんな瞬間に心を動かされたのか話してくれて、貴重な瞬間でした」と明かす。
プリシラからの言葉は、ずっと抱えていた重責が和らいだ瞬間だったそうで、「娘のリサ・マリー・プレスリーもこの映画を見てくれて、プリシラと同じように気に入ってくれました。特にこの2人に気に入ってもらうことが何より大事だと思っていたので、すごく心が温かくなりました」と笑顔。そして、「世界中にはエルヴィスを愛する方がたくさんいらっしゃって、皆さんそれぞれにエルヴィスに対する思いがあると思います。見ていただく皆さんが幸せな気持ちになれたら嬉しいです」とプレスリーのファンへ向けて本作への思いを語る。
役に向き合う真摯な姿勢のほか、インタビュー中に好きな音楽を聞くとこちらのおすすめも聞いてくるなど、気さくな人柄もバトラーの魅力の一つ(ちなみに、バトラーがよく聴くのはプレスリーのほかケンドリック・ラマー、ジミ・ヘンドリックスなど)。「もしエルヴィスが生きていたら、どんな話をしたのか」という質問には、真剣に悩みながら「誰よりも会ってみたい方なので一問に絞るのは難しいですが、自分の映画のパフォーマンスが見合うものであるか、そして誇らしく思ってくれているかどうかを聞いてみたいです」と答えていた。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。