ロシアの教育現場をリアルに映す「ヘィ!ティーチャーズ!」6月25日公開 一時閉館する兵庫の映画館が配給
2022年6月1日 21:00
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プーチン政権により閉鎖に追い込まれた「Radio Free Europe/Radio Liberty」ディレクターのユリア・ビシュネベッツが、教育システムや教師の働き方のギャップに迫ったドキュメンタリー「ヘィ!ティーチャーズ!」の公開日が6月25日に決定した。本作の日本配給は、8月末をもって一時閉館する兵庫のミニシアター豊岡劇場。館主・石橋秀彦氏が本作を配給するに至った経緯を語った。
映画は、“教えること”の理想とギャップ、世界中の先生たちが共感する「教師あるある」を捉えたドキュメンタリー。教室の中にカメラを据え、教師と生徒の一挙手一投足を見つめる。ロシアという一国にとどまらない、教育システムや教師の働き方のギャップに迫る。
エカテリーナとワシリイはモスクワの大学を卒業した新米教師。ふたりは理想を胸に、見ず知らずの地方都市の学校に赴任する。エカテリーナは文学、ワシリイは地理の先生として。だが、すぐにその理想は崩れていく。授業中に勝手に発言する生徒や話を全く聞かないクラス、教師同士の人間関係、日々の授業の準備。山積する仕事に「理想の教育」は霞んでいく――。果たして、情熱を持ち、新しい教育を目指したふたりの新米教師の行く末は?
また、本作からは一面的ではない、大国ロシアの姿も見え隠れする。生徒たちの発言も自由で活発だ。「僕はドネツク出身」「ウズベク語で“人間”は?」「先生は昔からいるお婆さん先生と違う」「教師は夢と希望だけじゃ務まらない」「文学の先生は愛国教育で僕らに落第点をつけた」「社会主義死ね」「国家は人々に帰属すべきだ」などなど、政治や社会情勢、恋愛や性、ジェンダーの問題など、多様な意見が溢れ出す。
6月25日からユーロスペースほか全国順次公開。
コロナ禍が始まってきた2020年2月、初めてベルリン国際映画祭へ行きました。そして翌年のベルリン国際映画祭2021がオンラインになり、その際に出会ったのがこの作品です。
2020年のベルリンでは、映画祭で上映される作品のシノプシスを片っ端から読み上げ、日本と言う市場の中で、どのような作品が観客にとって観たい作品なんだろうかと、映画館の立場から考えました。その際にこだわったのは、やはり日本でも世界でも共通して起きている社会的な問題をテーマにした作品を、紹介していきたいと思ったのです。
「教育」は、どの時代にも大切で普遍的な議論です。学校で学ぶこと、これは何百年とかけて各国の市民が得てきた権利です。しかし知識を得ることは、社会的な差別も起こるのでは、と僕は思うのです。知識を得た者と得られなかった者の間には、社会の中で大きな差があり、わざわざ勉強して知識を得た者は、知識を得られなかった人々に対して冷たいものだと思います。それもそのはず、自分が努力をして知識を得たわけですから。
地方に住んでいる私は、都会と地方との間にもこれと同じ様な差を感じてしまいます。コロナが全世界を襲い、今まさにまた自分たちの「価値観」が問われる中、社会の足元を見直す、他国の文化を見て自分たちを見直す、とのような問いかけをしてくれる作品です。
ユーロスペースで上映が決まり始める今年の2月、実はウクライナのメディアエージェンシーの方と商談中でした。ウクライナでの映像制作の話をしている矢中に、ロシア軍の侵略が始まったのです。すぐさまにエージェンシーから、日本のメディアに正しい情報を届けて欲しいと、ウクライナ国会のYouTube放送局を日本のメディアに紹介した経緯があります。
そしてこの作品も、「教育」と言う観念だけではなく、政治的な意味を持つ作品となりました。なぜロシアがウクライナに侵攻したのか? 普通のロシア人は何を考えているのか?この作品の配給元会社も、現在はロシアを離れ海外で活動を再開しています。
私が運営している豊岡劇場は、地方の弱小映画館です。コロナ禍により経営が厳しくなり、少しでも映画関連の収入を増やすために、副業として配給を始めた訳ですが、この作品が最後の2本の内の1本となりそうです。8月には私の元での劇場運営は終わりますが、次の世代が映画館を続けてくれる兆しがあります。是非、豊岡劇場を応援してやってください。
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兵庫県の日本海側、豊岡市にある映画館、豊岡劇場(通称:豊劇)は、昭和2年(1927年)に芝居小屋として始まり、社交ダンスの場、戦時中は倉庫、そして映画館と大衆文化の場として、常に多くの周辺地域住民に愛され続けた末に85 年の長い年月をまっとうし、平成24年(2012年)3月末に一度閉館した。
そのまちの大衆文化のシンボル「豊岡劇場」をリノベーションし、再び地域に文化の拠点を作りあげたいとの思いから、CINEMACTION 豊劇・豊岡劇場として2014年12月27日に再開。映画上映だけではない、映画館を応用した新しい「場」を創出することを目的として運営してきたが、2022年8月末をもって一時閉館することを発表している。
(C)OkaReka
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