カンヌ映画祭、早川千絵監督「PLAN 75」ワールドプレミアに手応え 「イカゲーム」俳優の初監督作に喝采
2022年5月25日 14:30

第75回カンヌ国際映画祭で現地時間の5月20日、「ある視点」部門に入選した早川千絵監督の初長編「PLAN 75」がワールドプレミアを迎え、大きな拍手で迎えられた。上映を終えた後、会場の観客から「言葉にしにくい思いを伝えてもらったような感慨を抱いた」という早川監督は、出演者の磯村勇斗とステファニー・アリアンとともに、カンヌでの反響に大いなる手応えを感じた様子だった。
上映後の日本プレス向けの会見で早川監督は、「会場はとても音響がいいと聞いていたのですが、現地で観て感無量になりました。上映中は撮影していたときのことを思い出し、倍賞さんのことを考えながら観ていました。終わってすぐにでも電話したい気持ちで一杯になりました。この役を演じて下さり、本当にありがとうございましたと言いたいです」と口を切った。磯村は、「世界の人々と一緒に映画を観ることができるのはとても光栄で、いい経験をさせて頂きました。カンヌの観客の方の反応を見て、映画をこれだけ愛している人々が世界にいると感じ、自分も愛を持って映画に接していきたいとあらためて感じさせられました」と語った。
本作は高齢化が進む日本社会で、満75歳から自身で死を選ぶことができる制度<プラン75>が施行されているという設定のもと、78歳で、いまだ生活のために働きながら一人暮らしをする主人公ミチ(倍賞千恵子)の生き方と、彼女の周りの人々のドラマが交差する様をじっくりと描く。安定した語り口と、老境を迎えた人々の心情を丁寧に掬いとる演出に力を感じさせる。
早川監督は主人公を女性にしたことについて、「男性よりも女性の方が、社会でより厳しい状況に置かれていると思うので、最初から主人公は女性にしようと決めていました。センチメンタルな映画にはしたくなかった。もともと人間を冷徹に見つめる監督の作品が好きなので、たとえばミヒャエル・ハネケやイ・チャンドン、アンドレイ・ズビャギンツェフらの、人間に対する眼差しをふだんからどこか参考にしているような気はします」と語った。本作は6月17日から日本でも全国公開される。

5月19日の夜には、カンヌ恒例ミッドナイト上映で、「イカゲーム」の人気俳優イ・ジョンジェによる初監督・主演作「HUNT」が上映された。政府組織に隠れたスパイを探し出す任務と、大統領暗殺計画が交差し、誰が善か悪かわからない混沌とした状況のなかで、韓国アクション映画の看板とも言えるヴァイオレンスを含めたノンストップ・アクションが展開される。まさにミッドナイトにぴったりの手に汗握るエンターテインメントで、本作で23年ぶりにタッグを組んだ、ジョンジェとチョン・ウソンのスクリーンでの対決も見もの。公式上映は喝采に沸き、つくづく韓国映画はこういう分野に強い、と感じさせられた。(佐藤久理子)
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

大量殺戮の容疑者は、妻と4人の部下
【ネタバレ厳禁の超一級サスペンス】全感覚を研ぎ澄ませろ――スパイによる究極のスパイ狩り
提供:パルコ

レッド・ツェッペリン ビカミング
【映画.com編集長が推したい一本】むしろ“最前列”で観るべき奇跡体験! この伝説を人生に刻め!
提供:ポニーキャニオン

“地球で最も危険な仕事”を知ってる?
【驚がくの実話】ヤバい、ヤバすぎる…生存確率0%からの生還に挑む超高評価作
提供:キノフィルムズ

すっげぇ楽しい超刺激作
【めちゃ笑った】激チャラ大学生が襲いかかってきて、なぜか勝手に死んでいきます(涙)
提供:ライツキューブ

映画を変えた“伝説の映画”
「マトリックス」「アバター」など数々の傑作は、このシリーズがなければ生まれなかった
提供:ディズニー

本作、良い映画ではないです。最高に良い映画です
【ラスト5分の余韻が、あなたの生涯に影響する】“ほっこり系”と油断してた…感情が持ってかれた
提供:松竹

これ観てない人、マジもったいない
【夏に観逃したという人へ…】まだ間に合う!むしろ今こそ映画館へ【知れば絶対に観たくなる7の事実】
提供:東宝東和

宝島
【超異例の「宝島」現象】こんなにも早く、心の底から“観てほしい”と感じた映画は初めてかもしれない。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント