【「ドンバス」評論】ウクライナで今起きていることがよく分かる、タイムリー過ぎる1本
2022年5月7日 13:30
2022年2月24日に突如始まった、ロシアによるウクライナ侵攻は、多くの識者たちが「まさか本当に侵攻するとは思わなかった」と口を揃えました。
それに先立つ2月21日、ロシアが、ドネツク人民共和国(DPR)とルガンスク人民共和国(LPR)を「独立国家」として正式に承認したという報道がありました。一方のウクライナ政府は、DPRとLPRを「テロ組織」とみなしています。この、ドネツクとルガンスクの総称が「ドンバス」ということになります。ニュースによく出る「マリウポリ」も、ドンバスの重要な都市のひとつ。
本作は、そのドンバスで起きていることを描いた2018年の映画です。同年のカンヌ映画祭の「ある視点部門」で監督賞を受賞していますが、恐らく、18年とか19年に公開されたところで、日本人はあまり興味を持たなかったかも知れません。しかし製作から4年たって、まさかのタイムリーすぎる案件になっていることに驚きます。同様の感覚は、2020年3月のコロナ禍に「コンテイジョン」(2011年製作)を見た時のものに近い。
「ノーヴォ・ロシア(新しいロシア)」と書かれた国旗を掲げ、親ロシア的な政策をすすめる現地の政府。彼らはウクライナ政権のことをファシストと呼び、その政権に帰依する人々を激しく弾圧しています。彼らは「西のファシストから、自分の領土を守っている」と主張しています。そして、弾圧された人々は、シェルターに潜って厳しい共同生活を強いられています。
そうなんです。ドンバスでは、今回のロシアによるウクライナ侵攻よりずっと以前から、人民が分断し、内線を繰り広げていたのです。
この映画で描かれる光景は、まさに私たちがテレビやネットで見ているウクライナの光景と同じです。そしていま、ロシア軍がドンバスに侵攻し、親ロシア勢力(ノーヴォ・ロシア)と結託してウクライナ市民を殺戮しているのです。暗澹たる気分になりますが、これはウクライナ問題に関心がある人ならば必見の映画です。本作を通して、いまウクライナで起きていることを記憶に残していただきたいと節に願います。
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