「パリ13区」本編映像&16人からのコメント公開 「燃ゆる女の肖像」ノエミ・メルランがポルノスターに間違われる波乱の場面
2022年4月14日 18:00
ジャック・オーディアール監督がセリーヌ・シアマと共同で脚本を手掛けた「パリ13区」の新たな本編映像と場面写真のほか、尾崎世界観ら16人からのコメントが公開された。「燃ゆる女の肖像」で主人公の画家を演じたノエミ・メルランが、本作ではソルボンヌ大学の法学生として32歳で復学するノラ役に。本編映像は、あるパーティーで、ノラが元ポルノスターの女性と間違われてしまう波乱のシーンを切りとっている。
「ディーパンの闘い」「預言者」などで知られるオーディアール監督と、「燃ゆる女の肖像」で一躍世界のトップ監督となったシアマ。ふたりが共同で脚本を手がけた本作は、高層住宅が連なり多国籍なパリ13区を舞台に、ミレニアル世代の男女4人の、孤独や不安、愛やセックスにまつわる人間模様が描かれる。2021年第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されて絶賛を浴びたほか、第47回セザール賞では、撮影賞、脚色賞、音楽賞、有望若手女優賞、有望若手男優賞の5部門に選出された。
このほど公開された映像は、歳の離れたクラスメートたちに距離を感じていたノラが、学生の企画するパーティーに、意気込んで金髪のウィッグで参加するシーンが切り取られている。見知らぬ男性に突然「会えて嬉しいよ ファンなんだ」と声をかけられるノラ。「ここの店員?」「ビデオはやめたの?」と矢継ぎ早に質問を受ける。なんとノラは“アンバー・スウィート”という元ポルノスターの女性と間違われてしまったのだ。そして、人違いだとは知らずにノラは、困惑しながらもツーショットに応じてしまう……。「燃ゆる女の肖像」のクラシカルな佇まいとは異なる、現代のパリに生きるミレニアル世代をリアルに体現するノエミ・メルランの熱演を垣間見られる映像だ。「パリ13区」は、4月22日から新宿ピカデリーほか全国公開される。
人はだれも自分のなかに”未知の人”をひそませている。その”人”と出会い、受け入れていく、という人生でもっともステキなことが描かれていた。舞台となっている町も、パリ市内なのにまるで未知の場所!
映画館を出て一杯のお酒かお茶を飲みながら、彼らの街で過ごす時間や自分の街で過ごしてきた時間について想いを巡らせたくなる。若手脚本家二人と鬼才監督によって生み出された瑞々しい現代の若者たちの物語。私の一部みたいに生きている。
口では何とでも言えるけれど、目は本当のことしか言えない。口で繋がっても目で隔たる。登場人物たちのそんな目が、ずっと頭から消えない。
交差する人々が繋がることが難しくなくなった昨今、でも本当の意味でお互い手を取り合えるようになるのは簡単ではない。どんなに便利な世の中になったとしても、その事実だけは変わらないことを願う。
米カートゥーニスト、エイドリアン・トミネの短編コミックを下地に、人の世の狂おしき哀切を抽出した、見事なる都市讃歌だと思いました。浮遊しつつ、ときにお互い「触れ合うこともある」孤独な魂の群舞が愛おしい。
モノクロ画面の”正直さ”が、主人公たちのままならなさばかりを映して、やがて温かい肌触りを残してきれいに終わる。艶や骨格は全然違うのに、それはまぎれもなく原作であるエイドリアン・トミネのマンガそのものでした!最高!
もどかしい恋愛の絶妙なバランスが、巧みに描き出されていました。色彩の不在が、感情の鮮やかさを際立たせ、むしろとてもカラフル。ラストシーンの後、心に小さな花束をもらったような気持ちになりました。
パリで今を生きる登場人物たち。彼らは、間違った相手をすきだと錯覚したり、きちんと自分の想いを伝えられなかったり、もどかしくて痛々しい恋愛を繰り返す。だれかと簡単につながれるけど、愛し合うのはむずかしい現代で、愛する人を見つけた彼らは、幸せだと思う。
コミュニケーションの形は時代で変わっていきSNSの普及した現代社会でそれぞれ問題を抱えながら模索して生きていく登場人物達。鉛のように重く美しいモノクロ映像の中に微かに光る本物っぽい感情に期待してしまう。
誰とでも簡単に出会えるからこそ、真実の愛を見つけるのが難しい時代を生きる私たち。本作が描く新しいパリは、正解を求められる世界の中でも、愛し方愛され方に決まった形はなく、自由に生きることを許してくれる。
行ったことのない場所の、知らない誰かなはずなのに、彼はいつかの私で、彼女はいつかの彼だった。私たちの悩みはいつもほとんど同じで、そういうくだらない人生がただいつまでも続く、美しい世界であってほしい。
愛の形は様々だ。希薄な人間関係やひょんな会話から生まれるかもしれないし、キスからもセックスからも生まれないかもしれない。
私の思い描く華やかなパリとは違う、13区で暮らす若者達。彼らのリアルな感情の移ろいは、自由な生き方を肯定してくれるような気がした。人生に正解はないし、失敗もないし、全てが美しくて愛おしい。
人間関係や人との距離を改めて考える今だからこそ耽美なモノクロームの映像の中で輝く、人との繋がりの温かさを感じられる作品。フランス映画らしい新しい愛の描き方に心躍りました。
まったく新しいパリのイメージの中で、モノクロで映し出された群像が色鮮やかに輝きはじめたとき、同じような胸の高鳴りを覚えてなんだか走り出したくなりました。
ウィルス、戦争、地震、、の今の世の中、、でも希望もあるんだな
エイドリアン・トミネのビタースウィートな物語がモノクロのパリの中で進化した。優しく、セクシーで、新しい人間模様に胸を打たれた。
30歳前後、恋もセックスも一通り知った彼らの、簡単には割り切れない人間関係や感情がすれちがう。それでも映画の終盤“本当に人と人が繋がれた瞬間”を見た。それはあまりにも美しく、眩しく…胸を締めつけられる。
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