足立智充、玉置玲央主演 罪を背負った二人の男が夜のロードサイドを疾走!佐向大監督「夜を走る」5月公開
2022年3月6日 11:00
大杉漣さん主演作で、“死”と隣り合わせの死刑囚たちと、彼らと対峙する聖職者の“生”を描いた「教誨師」(18)で高く評価された佐向監督。構想9年をかけた本作では、オリジナル脚本によって、規格外のスケールで現代日本の相貌を捉えた。舞台は郊外の鉄屑工場。そこで働く二人の男。ひとりは不器用で上司にも取引先にも軽侮されながら、実家で暮らす秋本。もうひとりはうまく世の中をわたってきた谷口。あまりに退屈な、しかし平穏な毎日を送ってきた彼らだったが、ある夜の出来事がきっかけで、ふたりの日常と運命が揺らぎ始める……。
機械も人間もいとも簡単にスクラップ・アンド・ビルドされ、部品の入れ替わりなどお構いなしにぐるぐる回り続ける社会。嘘が嘘を生み、弱い者たちが更に弱い者を叩く。そんな無情な世界の中、それでも通常運転を続ける人間の絶望と再生が、驚きの展開で紡がれてゆく。
本来ならば、本作が大杉さんの初プロデュース作品となるはずだった。だが、先に製作された「教誨師」が大杉さん初のプロデュースにして最後の主演作となり、本作の企画は一旦頓挫。その後、全世界をパンデミックが覆う中、再び企画が始動した。
主演の秋本役は「きみの鳥はうたえる」(18)や「ふたつのシルエット」(20)の足立智充。予想だにできない怒涛の運命を辿る男を鬼気迫る怪演で魅せる。同僚の谷口役は「教誨師」の死刑囚役で映画初出演を果たし、毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞、NHKドラマ「おかえりモネ」などでも印象的な姿を見せる玉置玲央。秋本と対照的に、家族を持ち、要領よく生きてきた男を見事に演じる。松重豊、宇野祥平、菜葉菜、高橋努、川瀬陽太ら個性派のベテラン勢が脇を固める。
5月、テアトル新宿・ユーロスペースほか全国順次公開。
映画は夢か?現実か? ファスビンダーが死んでも、いまだ彼の描いた世界が現実なのに…その揺るぎない事実をこの映画が証明した!映画は時限爆弾だ!全部吹っ飛ばせ!
真っ赤な灰皿。箱のカタチの、足がついてる、缶でできたやつ。底に溜まった汚い汚い汚い水、粘る唾液が染み込んだ大量のタバコの吸い殻、そのエキスをじっくりと時間をかけて抽出した、もう、水って言っちゃいけない汁。
あの、臭い臭い臭い臭い臭い汁。黒い黒い黒い黒い黒~い黒~い汁って、一気飲みしたら死ぬらしいから、味を知りたければ代わりにこの映画を観るといい。飲んだことがある事に気づくだけだとしても。
ドストエフスキーの至言「囚人を逃亡させない最良の方法は、監獄に入っていると気づかせないことだ」がついに映画化された。
快挙であり暴挙であるこの映画は、今見られなければならない。「日常を続けましょう」は看守の声だと、気づく時が来たのである。
現実を不条理が侵食していく。
それは一人の映画作家が格闘し、認識するにいたった世の中のある断面なんだろう。
恐れを知らない、この野心的な映画は、観る人に激しい揺さぶりをかける。
ぶっ壊れているのは自分か、世界か?
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