【ネタバレあり】ジェイソン・ライトマンが明かす、父の代表作「ゴーストバスターズ」を引き継ぐまでの心の旅路

2022年2月13日 12:00


撮影現場でのエモーショナルな1カット
撮影現場でのエモーショナルな1カット

JUNO ジュノ」のジェイソン・ライトマン監督が、父アイバン・ライトマン監督の代表作「ゴーストバスターズ」「ゴーストバスターズ2」の正当な続編にあたる新作のメガホンをとるという“胸アツ”なニュースが発表されたのは、2019年1月のこと。その後、新型コロナウイルスの感染拡大により紆余曲折あったが、3年を経た現在、日本でも絶賛上映中だ。映画.comでは、ライトマン監督が今作を撮る決意をするまでの心の移ろいを軸に据えながら話を聞いた。(取材・文/編集部)

マシュマロ・マンがあまりにも有名な「ゴーストバスターズ」は、1984年に公開されて世界的な大ヒットを記録したSFコメディ。幽霊退治屋「ゴーストバスターズ」を始めた科学者たちが主人公で、高級ホテルに巣食う幽霊を退治したことから一躍世間の注目を浴びるようになるが……。

ライトマン監督がギル・キーナン(「モンスター・ハウス」)と共同で脚本を執筆した「ゴーストバスターズ アフターライフ」は、元祖ゴーストバスターズの4人がニューヨークでゴーストたちと戦ってから30年後を描く。彼らによって封印されたはずのゴーストたちが田舎町に突如出現し、復しゅうを始める。祖父が遺した古びた屋敷で暮らし始めたフィービーは、祖父が元祖ゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラー博士だったと知り、30年前にニューヨークで何があったのかを調べ始める。

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※本記事は「ゴーストバスターズ アフターライフ」のネタバレを含む内容となっております。未見の方はご注意ください。

ライトマン監督はこれまで、同シリーズに関わることに乗り気でなかったと公言している。ただ、その一方で約10年前からフィービーというキャラクターの構想は胸に抱いていたという。どのような心境の変化があったのだろうか。

「知らぬ間に自分が描くべきストーリーを見つけたんだ。以前は、息子だから『ゴーストバスターズ』を監督すべきだなんて思いたくなかったし、語るべきストーリーがないのにプロトンパック(バスターズが幽霊退治に使うレーザー装置)を手に取りたくなかった。でもある日、バスターズの孫の世代が祖父の残した謎に気づくという話を思いついたんだ。地下室や屋根裏部屋を探検中にプロトンパックを見つけ、それが何を意味するのか、自分のアイデンティティに疑問を抱き始めるというアイデアだ。それが物語の始まりだったよ」

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ストーリーのアイデアは、不意に思いついたようで「12歳の少女がアメリカの麦畑をバックにして、プロトンパックをもっているシーンが思い浮かんだんだ。なぜそう思ったのかは分からない。でも頭の中にイメージがあって、彼女がスペングラー博士の孫娘であるということが明確になっていったんだ」。このアイデアはしかし、父アイバンにとっては長年の夢がかなう第一歩となったことは言うまでもない。今作の脚本を読んだアイバンが涙を流したと明かしているが、実際に脚本を手渡したときの反応を聞いてみた。

「僕が『ゴーストバスターズ』を製作したことに、父はただただ興奮したと思う。何年も僕にそうして欲しいと言っていたからね。ついに決断して、明らかに父とオリジナル作品へのラブレターのような作品を製作したことを、父はとても光栄に思ってくれたみたい。嬉しくて泣いていたことも知っているよ」

ちなみに、何度となく父から続編を製作するように言われた際、どのように断っていたのだろうか。「まだ心の準備が出来ていない」と口にしたのだろうか……。

「まさに、その通りの言葉を言ったと思う(笑)。インディーズ映画を撮ったり、映画祭に参加したり……。父はそれを尊重してくれたよ。そしてある日、『ゴーストバスターズを製作しようと思っている』と伝えたら、とても興奮していたよ」

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それだけに今作の撮影現場で、父アイバンはライトマン監督のことを「毎日、そばにいて見ていた」という。

「これまでも父と一緒に映画を作ったことはあったけれど、こんな風に来る日も来る日も隣でコラボレーションしたのは初めてだったね。モニター横に父が座って見ていることがよくあったんだけど、とても感激すると同時に、とてもストレスでもあったよ(笑)。1日中、親に見られながら仕事をすることを想像してみてよ。ただ、親子の絆が深まる経験になったのも事実。常に『1984年の父だったらどうするだろう』『父が僕の立場だったら、あるいは僕が父の立場だったらどうするだろう』と考えるようにしながら進めていったんだ」

親子とはいえ、これまで全く異なるタイプの作品を製作してきたことは一目瞭然。オリジナルの底抜けに明るいオリジナル版に、自分の色を加えることを興味深い表現で伝えてくれた。

「もしミュージシャンだったら、カバー曲を演奏しているような感じで面白かったよ。自分のスタイルで曲を演奏しているんだけど、歌詞は父のものという感じだったんだ」

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間違いなく設定をアップロードしていきながら、それでいて終盤にはオリジナルのファンが歓喜するようなエモーショナルな光景が用意されている。

シガニ―・ウィーバーをはじめ、オリジナル作品を牽引したレジェンドキャストが結集しての続編製作は、現場の士気を高めるうえでも幸せな光景になったはずだ。コロナ禍ということもあり、撮影そのものは一筋縄ではいかないものになったようだが……。

「この作品の魅力的なところは、10回もの異なるタイミングで映画を完成させた気分になったことなんだ。コロナ禍になる前に撮影し、コロナ禍に編集を行った。それから撮影をいったん止めて、再開する前に色々考える時間を持つという珍しい経験ができた。それは、何カ月も書くのをやめて、新鮮な視点でやり直すことができる作家のようなものだから。監督として、初めてそういう取り組みができたんだ。改善できる箇所を見つけては、少しトリミングして……というようなことを試してみました」

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そして、オリジナルキャストとの仕事については「素晴らしかった! セットにいる誰もが、ジャンプスーツを着たオリジナルキャストをもう一度見られるだなんて思っていなかったから。ビートルズをもう一度見るような感覚だね。みんな、大興奮だったよ」と笑顔をのぞかせる。“レジェンド”たちも同じ気持ちだったようだ。

「オリジナルキャストに『イエス』と言わせることが、どれほど難しいことか……、みたいな話はよくあるけれど、そうはならなかったよ。我々がスクリプトを書き、彼らがそれに応えてくれた。それは、『ゴーストバスターズ』の世界を作り上げた、ハロルド・ライミスに敬意を表した脚本だったからだと思うよ」

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