官能的で幻想的な小川洋子ワールドに誘われる 永瀬正敏×陸夏「ホテルアイリス」予告編
2022年1月20日 10:00
俳優の永瀬正敏と台湾の若手注目株・陸夏(ルシア)が共演し、小川洋子氏の小説を映画化する日台合作映画「ホテルアイリス」の予告編が公開。あわせて小川氏をはじめ、キャスト陣、メガホンをとった奥原浩志監督、スタッフ陣のコメントも披露された。
本作は、「波(2001)」「黒四角」の奥原監督が自ら小川氏に脚本を持ち込み、4年の歳月をかけて映画化を実現させた物語。台湾・金門島でオールロケを敢行した。謎めいた男と心に闇を抱えた女が、ふたりだけの禁断の世界に溺れていくさまを描く。永瀬がミステリアスなロシア文学翻訳者、映画初出演にして主演の座を射止めた陸夏が、台湾人の父親が不慮の事故死を遂げた過去を持つマリを演じる。そのほかリー・カンション、菜葉菜、寛一郎、マー・ジーシアンらが顔をそろえた。
寂れた海沿いのリゾート地で、日本人の母親(菜葉菜)が経営するホテルアイリスを手伝うマリは、ある嵐の夜、階上で響き渡る女の悲鳴を聞く。そこでマリは、女に暴力を奮い罵声を浴びせる男と出会う。マリは動揺しながらも、一方では男の振る舞いに激しく惹かれていた。その男は、ロシア文学の翻訳者で、小舟で渡ったところにある孤島にひとりで暮らしているという。住人たちは、彼が過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと、まことしやかに噂していた。マリはやがてその孤島へと導かれていき、男の存在が彼女の人生を大きく揺るがしていく。
映像作家・遠山慎二が手がけた予告編は、マリの下着がハサミで切り裂かれる衝撃的なシーンから始まり、やがて翻訳家の男と出会い、抗いがたく惹かれていく姿が映し出される。売春婦の死、警察からの尋問など、ふたりの愛を阻む不穏な要素が暗示されるが、「もう構わないで。彼を愛してる」と、きっぱりと言い放つマリ。肉体的にも精神的にもふたりをつなぐ拘束具のカットや、奥原監督のオリジナルの脚色で撮影された、翻訳家の住む孤島へ向かう渡し舟のシーンなど、見る者を官能的で幻想的な世界に誘う映像となった。
小川氏は映画に寄せ、「すべては生と死の間を漂う波にさらわれ、引き返せない彼方へと消え去ってゆく。そのはかなさが、残酷なほど深く胸に刻まれる」とコメント。「様々な想いが芽生えた撮影でした」と振り返る永瀬は、「ご一緒出来た、台湾の優れた映画人とのコラボレーションは、あらためて様々な“情”を感じる素晴らしいものでした。小川洋子さんの深い原作の下、台湾・日本の共演者、スタッフの皆さんと過ごした金門島での日々は、今思えば原作に漂う夢の様な、現実の様な、幻想の様な、得難い日々だったと思います。ご覧いただいた皆さんに、作品に込められた沢山の“情”が、どうか届きますように」とメッセージを託した。
「ホテルアイリス」は、2月18日に東京の新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほかで公開。キャスト陣、奥原監督、美術を担当した金勝浩一、音楽を手がけたポーランド出身のスワペック ・コバレフスキのコメント(全文)は、以下の通り。
日本の皆さん、こんにちは。私は陸夏(ルシア)です。私がヒロインを演じた「ホテルアイリス」が、まもなく全国の劇場で公開されます。ぜひ劇場にお越しいただき、スクリーンでご覧ください。待ってます!
異国の孤島での撮影はとても刺激的だった。台湾の名優との触れ合いも、海外スタッフと初めて組む現場にも心が躍り、毎日がサプライズの連続だった。無国籍な世界観で繰り広げられる崇高なラブファンタジー。ハロウィン仮装のような菜葉菜もほんの少し楽しんでください。
この映画は3年前に台湾の金門島と言う素晴らしい、日本とはまた違った空気感が漂うロケーションで撮影しました。小川洋子さん原作の「ホテルアイリス」は、登場する一つ一つが良く表現されており一瞬で小説の中に入り込める力を持っていました。そして奥原浩志監督、台湾スタッフと素晴らしい時間を共有しながらこの映画に挑んだことを覚えています。主演のルシアさんは日本語のセリフも多く苦しい中、いつもスタッフさんや僕達を笑顔にしてくれました。彼女が萌芽していく瞬間がこの映画を通して見られると思います。
皆さん、こんにちは。リー・カンションです。「ホテルアイリス」の日本公開をとても嬉しく思っています。この映画は台湾の金門島で撮影しました。参加できてとても光栄でした。この映画の中で私はあの世からの使者を演じました。あの世とこの世を往き来する船頭の役です。コロナの影響で日本に行けず、プロモーションにご協力することが出来ません。この映画の成功を祈っています。どうか映画館に足をお運びください。映画館では感染予防をお忘れなく。このコロナ禍が早く収束しますように。ありがとうございます。
2018年12月に撮影をしました。今思えば夢の中にいるような日々でした。それからいろいろありました。ようやく完成し、皆様に見ていただけることを心から嬉しく思うと同時に、誇りにも思います。ここまで私を支えていただいたすべての方々に感謝します。この作品が皆様の心に残るものであることを願ってやみません。
今回の公開はおめでとうございます。様々なことを考えさせられる深いテーマで、素晴らしい作品だと思います。たくさんのお客さんにご覧いただけたら良いですね。
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