トム・フォード、「ハウス・オブ・グッチ」を酷評 「これは茶番なのか」
2021年12月1日 13:00

ファッションブランド「GUCCI(グッチ)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていた経験のある米デザイナーのトム・フォードが、レディー・ガガ主演の映画「ハウス・オブ・グッチ」を酷評した。
「ハウス・オブ・グッチ」は、ハイブランドの元祖と呼ばれ、世界屈指のトップブランドに登り詰めたGUCCIの創業者一族の崩壊を描いたサスペンスドラマ。1995年に起きたGUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長マウリツィオ暗殺事件を軸に物語が展開する。マウリツィオ殺人の首謀者である妻パトリツィア役をガガ、マウリツィオ役をアダム・ドライバーが演じているほか、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レト、アル・パチーノら豪華キャストが出演。名匠リドリー・スコットが監督を務めた。
フォードは、1994年に33歳でGUCCIのクリエイティブ・ディレクターに就任。2004年まで務め上げ、当時破産状態にあった同ブランドを復活させた立役者として知られている。また、「シングルマン」「ノクターナル・アニマルズ」といった作品を製作した映画監督でもある。
そんなフォードが、米Air Mailに同作の感想を寄稿。ドライバーが演じるマウリツィオと実際に働いていたことから、自分の意見が独断と偏見に基づいているかもしれないと前置きし、「この映画――いや、これが何なのか正確にはわからないのだが――、映画館を出たときに、ハリケーンを生き延びたように感じた。これは茶番なのか、手に汗握る強欲の物語なのか? 何度か声を出して笑ったが、作り手が意図したものかどうかはわからない」と辛らつに評価した。
「登場人物の多くを知っており、映画の原作のためにも何度もインタビューを受けた。なので、スクリーンで描かれた派手でひどく加工されたメロドラマと、現実を切り離すのは難しい」「『ハウス・オブ・グッチ』を見たあと、数日間は深い悲しみに襲われた。この反応は、登場人物とこの物語を知っている人だけが感じるものだと思う。あれほど血なまぐさい物語に、ユーモアや滑稽さを見出すのは困難だった。現実世界では、滑稽なことはなにもなかったからだ」
また、フォードはパチーノとレトの大袈裟な演技を、まるで「サタデーナイト・ライブ」のコントを見ているようだったと批判。その一方で、ドライバーを「微妙なニュアンスのある演技をする」と評価し、ガガに関しては「本作の真のスター」と絶賛している。
「ハウス・オブ・グッチ」は、2022年1月14日公開。
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