【「COCOLORS」評論】希望のない世界でネガティブを糧に前に進む“クズ主人公”の成長物語
2021年11月20日 08:00

「COCOLORS(コカラス)」という見慣れないタイトルは色(COLOR)と心(COCOLO)を組み合わせた造語で、ポスターには「この灰色の空に『こころ』はあるのだろうか」というキャッチが配されている。神風動画が自主製作した同作の成り立ちや、木版画をモチーフにした特異な絵作りについては特集を参照していただくことにして、本稿では主人公アキに注目して物語を読み解いていきたい。
地上が灰に覆われ、薄暗い地下で短い命を生きるしかないアキは、主人公らしからぬ“クズ”な言動が目立つ。自分にとって都合のいい弟分的な存在であるフユには嘘をついて見栄をはり、自分に厳しい意見を突きつけるシュウからはすぐ逃げ出そうとする。自分から志望した回収班の仕事もまっとうできず、シュウが拾ってきたガラクタをこっそり分けてもらうだけ。現実から目を背け、不満ばかり口にして能動的に動こうとしない。物語の主人公にはふさわしくないキャラクターだ。
そんなアキは、命の灯が消えそうなフユの「空の色を見たい」という願いを叶えるべく、勇気を振り絞って地下施設を脱走して地上を目指す。脱走してからも土壇場で何度も逃げ出そうとしながらフユの命がけの説得に背中を押され、そこまでの労力をかけてもきっと何も見えないであろう地上を目指していく。
ポジティブなことだけが人間を前に推し進める原動力ではなく、ネガティブなことがあるからこそ前に進んでいけるときもある。本作を手がけた横嶋俊久監督は「スタジオに行くの嫌だな」と毎日思いながら映画を作っていたと、アキに自分自身を重ねて笑いながら、へこたれながらも背負わされた重荷とともに人生を歩んでいく姿を描くことが作品のテーマになりうるのではないかと舞台挨拶で話していた。そんな思いが終盤のセリフ、「苦しみも、悲しみも、そして……君が辿った絶望も、すべてはアキ、お前の輪郭になるんだ」というセリフにこめられている。
関連ニュース





「スター・ウォーズ ビジョンズ」Volume3、10月29日配信!神山健治総監督による初のシリーズ作品制作も決定【スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン2025】
2025年4月20日 14:41

映画.com注目特集をチェック

“最高&最幸”の一作!
【過去最高の評価!最も泣いた!】ありがとう、そして…さようなら!? 結末は絶対に観て…!
提供:キノフィルムズ

“ハリポタファン”に熱烈に推したい
【夢のような空間がここにある】GWにぜひ堪能してほしい特別な体験【忖度なし正直レビュー】
提供:ワーナー ブラザース スタジオ ジャパン

たべっ子どうぶつ THE MOVIE
【裏切りすんごい】キッズ向けとナメてたら…全然“甘くなかった”!!嘘やろ、こんな…ええんか…?
提供:クロックワークス、TBSテレビ

地上波では絶対ムリな超過激作
【超暴力的・コンプラガン無視!】狂キャラが常軌を逸した大暴れ!!【敵の事務所にロケットランチャー】
提供:DMM TV

マインクラフト ザ・ムービー
【予想の5倍面白かった】そして、この映画で人生がレベルアップする【息つく間もない“楽しさ”連続】
提供:ワーナー・ブラザース映画

サメ!ゾンビ!ガメラ!
【狂った名作・怪作が無料大量放送】人類終了のお知らせ! ありがとう“GWの夜”が決まった
提供:BS12

なんだこの強烈に面白そうな映画は!?!?
【尋常じゃなく面白そうな6つの魅力】予告だけで「めちゃくちゃ良さそう」が湧き上がる…観なければ!
提供:ディズニー