荻上直子監督、「川っぺりムコリッタ」主演・松山ケンイチとの運命的な出会いに「こいつしかいねえ」
2021年11月6日 13:00

第34回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」で「川っぺりムコリッタ」が11月5日、東京・日比谷のTOHOシネマズ シャンテで上映され、荻上直子監督がティーチインを行った。
荻上監督が2019年に発表したオリジナル長編小説を、自身の脚本・監督で映画化。松山ケンイチ主演、ムロツヨシの共演で、孤独な青年がアパートの住人との交流を通して社会との接点を見つけていく姿を描く。
ユニークな語感のタイトルは、国語の教師をしている萩上監督の友人に考えてもらったという。「仏教用語なんですが、『川っぺりムコリッタ』と“っ”が2つ入るのが素敵。あとはジブリの「アリエッティ」みたいに勘違いしてお客さんが入ってくれないかな、と思いまして(笑)」とユニークな理由を明かす。

今作は、萩上監督がフォークロックバンド「たま」の楽曲で、知久寿焼による「夕暮れ時のさびしさに」の大ファンであることから生まれた。「もう30年くらい、夕焼けを見るたびに歌っていました。最近、歌詞を見たらとても変な歌詞で、この物語が生まれた。ホームレスのおじさん役はぜったい知久さんにやってもらいたいとお手紙を書いてお願いした」と思いが叶った。
映画化が決まったものの、一度頓挫したそうで「今は原作や漫画から映画になることが多いので、まずは脚本から原作を書いて、今の温かいプロデューサーのおかげで映画になりました」と紆余曲折を経ての完成となった。主演の松山起用について問われると「素敵な出会いでした。脚本を書き上げた後に主演を考えていたら、ちょうど(イタリアの)ウディネ映画祭があって、ディナーの前に座ったのが松山さんだった。『こいつしかいねえ』と思ったのが松山さん。願いが叶いました」と運命的な出会いだったというエピソードを披露。
観客から寄せられた、ムロツヨシの役柄は当て書きか?という質問には「脚本を書くときは当て書きは一切しません。松山さんもウディネで会うまで考えませんでしたし、ムロさんも意識せずにいました。映画を作るときに、プロデューサーや自分の意見で決めました。普段あまりテレビを見ないので、ムロさんが人気者だと知らなくて、一緒にご飯を食べに行ったら、店内の二つのテレビに映っていて、目の前にもいて、『トリプルムロだ!』と彼が人気者だとわかりました」と笑わせた。
荻上監督の作品は、食事のシーンが印象的だという指摘には、「ことさら多く見せようと思っているわけではなく、日常の生活の一つの行為として入れている。(今作では)お金もなく絶望の淵にいる主人公が野菜を食べます。食べるという生きることと死が隣り合わせになっているのかなと。食べることをちゃんと描いていきたいなと思いました」と述懐する。
また、今回の物語の舞台を富山にした理由については「なぜか、主人公がイカの塩辛工場に勤めているという設定が降ってきたので、塩辛工場がある場所を調べたら、まず函館、静岡が出てきて、そして富山だった。函館ほど北国の話でもなく、静岡のように東京に近い場所でもないと思っていたので。コロナ禍の撮影だったので、東京から来たら怪訝な目で見られるのでは……と思っていましたが、富山の皆さんが温かく迎えてくださったので、穏やかな気持ちで撮影できました」と振り返った。
第34回東京国際映画祭は11月8日まで、日比谷、有楽町、銀座地区で開催。
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