「観客を驚かせることができる」マッテオ・ガローネ監督、キャラクター造形、映像表現にこだわった「ほんとうのピノッキオ」に自信
2021年11月3日 08:30

「ゴモラ」「ドッグマン」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、ディズニーのアニメでも知られる児童文学を実写映画化した「ほんとうのピノッキオ」が11月5日から公開される。ジェペット爺さんの家を飛び出したピノッキオが繰り広げる奇想天外な冒険を、CGや特殊メイクの最新技術を用いて美しく奇妙なダークファンタジーに仕上げ、2021年・第93回アカデミー賞で衣装デザイン賞、メイクアップ&スタイリング賞の2部門にノミネートされた。このほどガローネ監督にオンラインで話を聞いた。

原作にこれだけ忠実なピノッキオの映画はこれまで作られてこなかったのではないかと思います。ピノッキオの本当の物語を発見してもらい、観客を驚かせることができると思ったし、昔は存在しなかった特殊視覚効果を使って今までにない新しい映像を楽しんでもらえるのではないかと思いました。本当に木でできた操り人形を主役に据えた実写が作れるのではないかと考えたのです。実際、特殊効果や映像には随分と手をかけました。
(ピノッキオは)イタリア文学の代表作のひとつであり、現代性を失うことはありません。今でも私たちの心に語りかけ、私たちを取り囲む世界の危険や暴力について考えさせてくれます。また自分にとって大切な人たちへの愛情がどんなに重要かを考えさせてくれます。父と息子の愛情の物語であり、アンチヒーローの物語でもあります。ピノッキオはアンチヒーロー、つまり間違った行いを重ねていきますが、ある時点で、正しい道とはどれかを理解し始めます。ですから、現在の観客にも通じる重要な要素を持った作品だと思います。

ロベルト・ベニーニはまさにジェペットです。想像しうる限りで、ジェペットという人物に最も近い俳優だと思います。彼も農民の世界、貧しい世界の出身です。ご存知のようにピノッキオのようなテキストでは貧しさがとても重要な要素です。ロベルトは、コッローディがピノッキオを執筆した場所から数キロのところで育ちました。ロベルト以上に、ジェペットの人間性、ジェペットの優しさや陽気さを伝えることのできる俳優は考えられません。これ以上の選択はないと思いました。確かに彼自身もピノッキオ役を演じていますが、全く別の種類の作品であり、この作品と重複するものではありません。
映画製作は集団作業であり、それぞれが映画の実現に必要な貢献をしています。ただし時代設定のある映画、つまりある現実を再構築しなければならない映画の場合は、当然ながら美術の仕事がとても重要になります。私たちは3年間かけてリサーチを行いました。さまざまな資料アーカイブを訪ねて19世紀の終わりから20世紀初めのイタリアの写真を調べましたし、絵画の分野では、原作者のコロディがインスピレーションを得ていたマッキアイオーリ派の絵画についても随分リサーチしました。美術のディミトリーは、もともと絵画を勉強したこともあり、今回の作品の視覚世界、つまり幻想的であると同時にリアルな世界を作り上げてくれました。

最終的な造形にたどり着くまで1年以上を要しました。とても時間かかる仕事でした。ロンドンのマーク・クーリエのところで作業しました。マーク・クーリエは既に2回アカデミー賞を受賞しています。テストをする度に、改善の必要があるところが出てきてまた何カ月もかかってしまうという……彫刻も施さなければならないし、特殊造形の仕事には時間がかかるのです。でもとても楽しく魅力的な作業でした。
この映画が世界に通用するためには、他の国、中でもアメリカやイギリスで作られる大作と肩を並べられるものでなければならないことはわかっていました。ですから、とても注意深く作業しました。私が好きな「職人芸」の成果であると同時に、見る人をびっくりさせるものにしたかったのです。幼い観客たちの注意を引きつけ、2時間の間、彼らを新しい世界に引き込めるものにしたかったのです。
(特殊造形は)まず顔の型をとってから彫刻をして行きます。登場する動物たちは擬人化、つまり半分人間で半分動物の姿にしましたし、ピノッキオは木の操り人形ですがそれを造形して行くのです。彫刻を施した特殊造形を顔に装着したら、彩色を施して行きます。まさに職人仕事で、ピノッキオのメイクには毎朝4時間かかりました。それに造形物は1回しか使えない、使い捨てですので、毎日新しいものを使用する必要があります。毎日彩色を繰り返したのです。

「ゴモラ」や「ドッグマン」の系統と、「五日物語」と本作との系統、このふたつのカテゴリーは通じ合うところがあるのです。「現実」から出発して映画を作るときは、童話的要素を探して行きますし、「童話の世界」から始めるときにはリアリズムを求めて行きます。だからアプローチとしてはどちらも同じです。絵画的なアプローチがあり、人間性、人間の葛藤や欲望、幸せや愛の追求というものについて考察しようとするアプローチがあるのです。コンテキストは違っても私の関心が人間であることに変わりはありません。舞台がファンタジーの世界であっても、現代であっても、テーマは同じです。
「ほんとうのピノッキオ」は、11月5日に東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。
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