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庵野秀明監督「シン・仮面ライダー」への思いを告白「“僕だけが楽しめる作品”にはしたくない」

2021年9月30日 19:15

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会見した庵野秀明監督
会見した庵野秀明監督

庵野秀明監督が9月30日、国立新美術館で行われた映画「シン・仮面ライダー」と展覧会「庵野秀明展」の合同記者会見「シン・仮面ライダー対庵野秀明展」に出席。同会見で出演が発表された主演の池松壮亮、ヒロインの浜辺美波とともに、「シン・仮面ライダー」への思いを打ち明けた。

合同記者会見のタイトルは、1972年に公開された「仮面ライダー対ショッカー」「仮面ライダー対じごく大使」をオマージュしたもの。この日は、劇中で使用される「サイクロン号」も披露された。デザインについて問われた庵野監督は、本作に3人のデザイナーが関わっていることを明かした。

庵野監督「まずは大先輩の出渕裕さん。それと『新世紀エヴァンゲリオン』のメカデザインも担当してくれた山下いくと。あとは、ウチの会社でもやってくれている前田真宏。彼はウルトラマン、ガメラ、ゴジラのデザインもやって、今回仮面ライダーも担当するという稀有な人。(デザインは)彼ら3人で手分けしてやってくれています。サイクロン号に関しては、山下君がほとんどを担当しています。デザインは、50年前の作品イメージが離れなくて……でも、そのラインを踏襲しつつ、現代風にならないかなと。その思いを、山下君が形にしてくれたので、すごく良かったです。ライダーと怪人は、出渕さんと前田によるもの。上手く“今”らしくまとめてくれました。特にライダーは二転三転したんですが、結局は50年前のイメージに戻るんだなぁと思いました」

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同会見では「プロモーション映像A」(https://youtu.be/xdxFwUqKc-A)、「プロモーション映像B」(https://youtu.be/R2Xi85vmSfc)が披露。「実はムービーに映っているライダーは、まだアクション用のもの。本編のものは、もう少しディテールがすっきりしているはず」と話す庵野監督。ステージ上の「サイクロン号」も「まだ直している最中。本編ではもう少し変わります」。プロモーション映像は、1971年版「仮面ライダー」のオープニングを参考に制作。庵野監督は、そのこだわりも語り尽くした。

庵野監督「『A』の方は、50年前の『仮面ライダー』第1話のオープニングをなるべく踏襲して作っていこうという方針でした。寄りの時に演じているのは、全て池松君。本人が演じるという点も含め、50年前のイメージを踏襲したうえで、新しいものにならないかなと考えていました。『B』は、踏襲はしつつも、お金も時間もないんですけど、そのなかでやれる“面白いこと”を入れてみたいと。ノスタルジーだけでなく、新しいものを……でも、ノスタルジーは捨てたくないんです。“あの頃”、毎週『仮面ライダー』を見ていた人に向けても作りたかったし、当時は生まれていない今の人々が見ても面白いと思えるものを目指したかった。その“間”ではなく“融合”したものを作れないかなと思っていました」

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やがて「仮面ライダー」の魅力について話題が転じた。「シリーズが長いので、色々な魅力がある」と前置きしつつ、「50年前にリアルタイムで見ていた『仮面ライダー』は、怖さと格好良さですよね」と語り始めた。

庵野監督「第2話は蝙蝠男が登場するんですが、マンションの屋上で戦っているんです。子ども時代のテレビは、(電波の)受信状況もよくなくて、画もよくなかった。ほとんど(画面が)真っ黒なんですよね。真っ黒の中で、仮面ライダーのような人と、黒く蠢いている戦闘員が戦っている。『何が起きているのかわからないけど、格好いい』。それが、僕にとっての一番の魅力。どうしても初期の話になっちゃいますが、2号ライダーも好きです。あの明るさがいい。V3も格好いいし、X(エックス)も良い。アマゾンあたりから、ちょっと年があがっちゃって、時々見るようになりましたけどね。昭和ライダーは飛び飛びの時もありますけど、ほとんど見ていたと思います」

庵野監督の話は止まらず。続けて「平成ライダー」への言及も始まった。

庵野監督「クウガは見損ねたんですけど、アギトから見始めました。平成で最初にハマったのは555(ファイズ)ですね。555は格好よくて素晴らしい。カブトも良かったです。最近は少々忙しくて“日朝”に見られなくなっています。ただ東映ファンクラブには入っているので、配信では見るようにしています――ちゃんと(東映の)宣伝もしています(笑)。キャラクターの格好良さ、面白さもあるんですが、『仮面ライダー』の魅力はアクション、音楽、効果音。音が素晴らしいんです。あまりマイナーの方にいきすぎると時間がなくなりますね。1時間以上話せますよ。1時間で話を終わることもできますし、1晩でも大丈夫。『1日話せ』といわれれば対応できますから」

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やがて、庵野監督は締めの挨拶で「今朝の新聞で東映さんがやらかしてくれましたけど――あの掲載内容だと、僕が50年前の『仮面ライダー』を“独占”しているといいますか……“僕が考えた『仮面ライダー』を作る”というような印象を与えかねない。そのことに怒っちゃったんですが、そうではないんです」と話し、その理由を説明した。

庵野監督「“僕が見たいもの”ではなくて、観客の皆さんが『面白い』「これはいい!』と思ってもらえるような作品にしていきたいんです。僕と同年代の人にも『こういう仮面ライダーもいいな』と思ってもらえるようなもの。僕よりも少しだけ下の世代、平成ライダーから見始めた世代、令和ライダーから触れた世代――50年もやっているシリーズなので、色々な『仮面ライダー』を好きな人がいっぱいいます。可能な限り、そういう人たちに楽しんでもらいたい。なおかつ、今“日朝”で放送されている『仮面ライダー』とは異なる新しいラインを作れないかなと思っています。『僕だけが楽しめる作品』にはしたくないんです。お客さん、スタッフ、キャスト、そしてお金を出している製作委員会の人たちも含めて『やってよかった』と感じてもらいたい。それがあったうえで、僕自身が『面白かったな』と感じることができるのだと思います」

シン・仮面ライダー」は、2023年3月に公開。「庵野秀明展」は、国立新美術館(企画展示室1E)にて、10月1日~12月19日に開催(毎週火曜日休館、ただし11/23は開館)。

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