カンバーバッチ、数シーンのために10キロ減量&丸刈りに「真実を尊重する以外に選択肢はない」
2021年9月28日 11:00
ベネディクト・カンバーバッチが主演・製作総指揮を務める「クーリエ 最高機密の運び屋」(公開中)の本編映像の一部が披露された。カンバーバッチは、劣悪な収容所に投獄された主人公の精神的・肉体的疲弊をリアルに再現するべく、体重を10キロ減量&丸刈りにして撮影に挑んだ。
舞台演出家として名高いドミニク・クックがメガホンをとった本作は、キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた知られざる実話を基に、核戦争回避のために命を懸けた男たちの葛藤と決断をスリリングに描く。カンバーバッチは、CIAとMI6の依頼を受けて、ソ連の高官の一人であるオレグ・ペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)と接触を図るセールスマン、グレヴィル・ウィンを演じた。
本編映像は、スパイ容疑をかけられ、東西冷戦下のソ連の劣悪な収容所に半年もの間監禁されているウィンが、愛妻シーラ(ジェシー・バックリー)と念願の面会を果たすシーンを収めている。肉体的にも精神的にも虐待され、残飯にも劣る食事しか口にできない日々を経たウィンのシルエットは変貌し、「大酒飲みで体の緩んだ中年男」と言われていた敏腕セールスマン時代の面影はゼロ。収容所で過ごした期間がいかに地獄の時間であったのかが一目瞭然となるショッキングなシーンだ。
収容所の場面はシーン数としてはそこまで多くないにも関わらず、カンバーバッチはリアリティを追求するために頭を丸刈りにし、約10キロにも及ぶ体重の減量を実行した。本作の撮影から時間をおかずして、「ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)」(2022年公開予定)に参加する必要があり、すぐに通常の体型に戻さなければいけなかったという。
自らを追い込んだ理由について、カンバーバッチは「映画ではたった数シーンにしかならないのにと思うでしょうが、当時のグレヴィル・ウィン氏の写真を見ると、彼が人生のはるかに長い期間、耐え忍んできた真実を尊重する以外に選択肢はないと思ったんです」と、史実をベースにした作品ならではの使命感を口にする。
減量方法については「健康的な方法で行われました。萎縮や無気力ではなく、すべてを削ぎ落として体を筋肉で縮めようとしました」と適切なプロセスを経てのダイエットだったようだが、「筋肉を削らなければならない状態の時もあり、とても嫌な経験でした。意識が混濁し、脱水症状を起こし、常に空腹を感じる。感情的にも肉体的にも非常に傷つきやすくなる」と振り返っている。
そんな苦行のような挑戦を経て、「10キロの減量へと至るすべてのプロセスが、収容所での日々を何年も何カ月も耐えてきたであろうグレヴィル・ウィンのキャラクター作りにおいて非常に役立ちました」と語っている。
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