永野芽郁のピアノ演奏が心を揺さぶり、田中圭が優しい涙を流した 「そして、バトンは渡された」撮影現場レポート
2021年9月6日 12:00
永野芽郁、田中圭、石原さとみが共演する「そして、バトンは渡された」の撮影現場レポートが、場面写真、メイキングカットともに到着した。舞台裏が明かされたのは、永野がピアノ伴奏に挑んだ卒業式のシーン。2日間に渡って行われた撮影には、300人のエキストラが集結した。
本作は、第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこ氏の同名小説(文春文庫刊)を、「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲監督が実写映画化。血のつながらない親の間をリレーされ、4回も名字が変わった優子(永野)。わけあって料理上手な義理の父親・森宮さん(田中)とふたりで暮らしている。将来のこと、恋のこと、友達のこと――優子の悩みは尽きない。一方、自由奔放に生きる梨花(石原)は、娘・みぃたん(稲垣来泉)に精一杯愛情を注いでいた。しかしある日突然、娘を残して姿を消してしまう。全く違う2つの物語がつながったとき、“命をかけた嘘”と“知ってはいけない秘密”の理由が明らかになる。
主人公・優子は、ほぼピアノ初心者なのにもかかわらず、卒業式で名曲「旅立ちの日に」の伴奏を担当することに。役柄同様、永野自身も「ピアノを弾いてみたい」という思いはあったものの、習った経験は一切なかった。撮影3カ月前、週1回のレッスンをスタートさせた永野。週2回、3回とレッスンの回数を増やし、日々の練習を重ねるごとで、演奏することの楽しさに魅了されていったようだ。
2020年11月、ついに卒業式シーンの撮影日が訪れた。永野にとっては、猛特訓の成果を披露する“緊張の時間”だ。練習中は思うように弾けなかった優子。ピアノ初心者だった永野。数カ月にわたる練習を経て“卒業式”に挑む光景は、役と俳優、それぞれの努力が重なり合う瞬間でもあった。
その日、体育館にいる全ての人が、永野の演奏に心を揺さぶられることになった。
前田監督は、エキストラに向けて「自分の子供の合唱を、卒業を、あたたかく見守る気持ちで」と言葉を投げかける。なかでも印象的だったのは、森宮役の田中が号泣するシーン。18年間育ててきた娘の立派な成長に感極まる――田中の優しく温かな涙を見て、思わずぼろ泣きしてしまうスタッフが続出していた。
演奏を無事に終えた永野は“頑張ることができた自分”に感動し、涙をこぼした。「ピアノを始めてからずっとこの撮影に向けて練習していたので、卒業式を迎えるという事が自分の中でも凄く大きなことでしたし、気は張っていたんですけど、色々なお芝居をしてきた今までとはまた違う、記憶に残るシーンになりました」とこれまでにない経験ができたようだ。
田中は、ピアノと芝居を両立してこなす永野の姿を常に見守っていた。「森宮家や卒業式のシーンなどピアノを弾く場面はいくつかあったのですが、元々弾けたのかな? と思ってしまうくらいピアノが上達していたし、いっぱい練習してきたんだろうなと思いました」と振り返る。
田中「卒業式のシーンではピアノを弾いている芽郁ちゃんからフワァッ!!っと光ったオーラが出ていて、中々見られない凄いものを見させてもらったなと思っています。長時間の撮影でピアノを弾いてお芝居もしてその根性に素直に感動しましたし、終わったあとにはご褒美のケーキをあげたくなるくらい本当に頑張っていて素敵でした。本当に一人の女優さんとして、立派だったと思います」
通常、卒業式のシーンはラストに描かれることが多いが、本作では物語の中盤に登場。物語が普遍的で真っ直ぐ、そして王道であるぶん、構造でエンターテインメントを表現する必要があったからだ。
「この脚本はとても素晴らしく斬新な構成なので登場人物の感情を繋いでいく事に腐心しました」と語る前田監督。中盤の卒業式シーンといった挑戦的な演出が、一度、クライマックス級に作品を盛り上げる。さらに、後半を感動的な物語へと展開し、加速させていく。物語の常識を覆した本作は、ただの感動映画ではないのだ。
「そして、バトンは渡された」は、10月29日に全国公開。
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