【「ドント・ブリーズ2」評論】盲目の最狂老人は“人間”として息を吹き返せるのか R15+指定で殺人&拷問描写は威力倍増
2021年8月15日 22:00

若者たちが盲目の最狂老人によって狩られていく傑作ホラー「ドント・ブリーズ」。続編の誕生に心躍るも「一体、どう描くのか?」という疑問が生じたことは否めない。鑑賞後、盲目の老人を演じたスティーブン・ラングの言葉を思い出した。「前作と大いに親族関係にあるが、多くの意味で独自の代物だ」。なるほど、納得。シフトチェンジが行われているのだ。
物語の背景は、前作から8年後。主人公の視点は、盲目の老人へと移されている。驚きを禁じ得ないのが「少女を育てている」ということ。第1作の“ヤバすぎる過去”もあってか、老人が親心のようなものを見せようとも、ストーリーを覆う不気味さを拭い去ることはできない。やがて謎めいた武装集団が参戦したことで、老人の狂気が未だに息づいていることが発覚。少女の周囲には、死体の山が築かれていく……。
今回、盲目の老人が対峙するのは、脇の甘い若者たちではなく、明確な殺意を放った武装集団。となると、手加減は一切必要なし。レーティングも「R15+指定」に格上げ(第1作は「PG12指定」)となり、老人も“殺人&拷問テク”を遺憾なく発揮することができている。ナタによる人体切断、鈍器での頭部破壊、ワンショット・キル……そして強力接着剤も有効活用! ところが、敵も一筋縄ではいかない相手。一手で終了とはならないのだ。だからこそ「静寂の恐怖」も踏襲しつつ、近接格闘が冴えるアクション面が強化されている。
印象深いのは、タイトルの意味を反転させた要素。つまり「息をしろ」ということだ。セリフとしての引用だけでなく「ある行為」によって息を吹き返そうとする者も。このポイントは、老人の生きざま自体にも当てはまるだろう。深い悲しみにとらわれたまま、他者の命を食い荒らしてきた老人。孤独は、かつて彼を獣へと変えてしまった。そんな深い闇の中で見つけた光――それが共に暮らす少女・フェニックスの存在だ。彼女との日々によって、再び“人間”として息を吹き返せるかどうかが問われているように思える。
ホラーからホラー・アクションへの移行。そこに「犬映画」としてのアップデートが加わっていることも忘れてはならない。本作には、2匹の犬が登場。前作に続き“ワンちゃん大活躍”である。さて、ここで考えてほしい。犬を愚弄する者に訪れるのは、何か? 犬を愛する者に訪れるのは、何か? 答えは明白だ。前者には天罰、後者には祝福がもたらされるのである。
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