【「イン・ザ・ハイツ」評論】ミュージカルもドラマも見ごたえ満点。原作舞台ファンも嬉しい愛に溢れた映画化
2021年7月31日 19:00

オリジナルの舞台ミュージカルはブッシュ政権下で誕生し、トランプ政権下で映画化された。とくに、「違法に国境を越えた者は例外なく起訴する」というトランプ政権の不寛容政策が、映画に大きな影響を与えている。主人公ウスナビ(アンソニー・ラモス)の従兄弟の不法滞在がプロットに絡むのは、映画版のオリジナルだ。
舞台は、中南米系移民が多く住むマンハッタン北部のワシントン・ハイツ。出身地のドミニカ共和国へ帰ることを夢見るウスナビを筆頭に、登場人物は全員、自分の居場所に関する葛藤や問題を抱えている。白人エリートが集う大学に入り、疎外感にさいなまれている移民2世のニーナ。一方、移民1世のアブエラは、アメリカン・ドリームを求めて故郷を離れた選択が正しかったのだろうかと述懐する。ハイツを出ていく者たちもいる。家賃の高騰にたまりかねてブロンクスへ移るのは、美容室を営む女性たち。反対に、デザイナーを志すバネッサは、より家賃の高いダウンタウンをめざす。
彼らが織りなす群像劇は、「移民にとってホームはどこか?」という、移民国家アメリカならではのテーマを掘り下げている。そして、すべての観客に、あなたは居たい場所に居るか、送りたい人生を送っているか、と問いかける。ドラマのクオリティの高さは、この映画のいちばんの魅力だ。
ミュージカル・シーンも見ごたえ満点。「ブルース・ブラザース」、「サタデー・ナイト・フィーバー」、「百万弗の人魚」、「恋愛準決勝戦」など、名作へのオマージュを感じさせる場面には、ジョン・M・チュウ監督のミュージカル映画愛が溢れている。白眉は、舞台初演からアブエラを演じているオルガ・メレディスのソロ「パシエンシア・イ・フェ(忍耐と信仰)」。地下鉄をモチーフにした幻想的な演出と、メレディスの熱唱に涙を誘われる。
オリジナルの舞台ファンには、原作&作詞&作曲を手がけたリン=マニュエル・ミランダが、ピラグア(プエルトリコのかき氷)売りの役で出演しているのも嬉しいポイント。ライバルのアイスクリーム売りを演じるのは、初代ベニー役(ニーナの恋人)のクリストファー・ジャクソンだ。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

ガンニバル
【衝撃の問題作】なぜ世界は「ガンニバル」にハマるのか? “絶対的支持”の理由を徹底解説!
提供:ディズニー

BETTER MAN ベター・マン
【観ないとぜっったい後悔する】「グレショ」監督最新作!ラスト5分の破壊力に、感動を超えて放心状態
提供:東和ピクチャーズ

劇場版モノノ怪 第二章 火鼠
同僚にあまりにオススメされるので、ミリしらで観たら不覚にも秒で沼にハマって大変なことになった話
提供:ツインエンジン

すごすぎて言葉にならない映画
【人類史上最悪の“ブラック仕事”爆誕】よく考えずに転職したら…死んで生き返る“無限労働”だった
提供:ワーナー・ブラザース映画

日本の映画館は高すぎる!?
【そんなあなたに…衝撃の価格破壊!】2000円→750円になる裏ワザあります
提供:KDDI

35年目のラブレター
【感動実話に“とんでもない絶賛”の嵐】噂を聞きつけ実際に観てきたら…忖度なし正直レビュー!
提供:東映

感想投稿で豪華賞品が当たる!
「ガンニバル」シーズン1をちょっとでも観たことある人、今すぐ参加して!(提供:ディズニー)