名店シェフがモロッコのリアルを解説 旧市街を散策するオンラインツアーも
2021年7月30日 14:00

カサブランカのパン屋を舞台にした「モロッコ、彼女たちの朝」のトークイベントが7月27日、都内で開催され、モロッコ料理店「エンリケマルエコス」オーナーシェフの小川歩美氏が登壇。モロッコに5年住んで料理の修行をした小川氏が、モロッコの食文化や女性たちの暮らしについて解説した。
本作は、新星マリヤム・トゥザニ監督が、過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出をもとに作り上げた長編デビュー作。家父長制の根強いモロッコ社会で女性たちが直面する困難と連帯を、フェルメールやカラヴァッジョといった西洋画家に影響を受けたという豊かな色彩と光で、美しく描き出した。
モロッコの伝統的な日常着を着用して登場した小川氏は「リアルな日常生活をそのまま描いた作品だったと感じました」と感想を伝え、物語の鍵となる紐状のパンケーキ「ルジザ」について「小麦粉と塩と水でできたシンプルで素朴なパン。食感がサクサク、カリカリで面白い。映画では何もつけず食べていたが、現地では蜂蜜をつけて、手で食べることが多いです」と説明。

また、トゥザニ監督の実体験が基になっていることについては「家父長制だけでなく宗教のためもあって、女性の生きづらさはある国。婚外交渉や中絶が違法で、未婚の母に対して、“家の恥”だと考える日本の50年以上前のような感覚がモロッコには存在する」と解説。続けて、「ヨーロッパに近く、それら地域の新しい文化がどんどん入ってきている。今のモロッコの王様は、欧米の文化を取り入れる先進的な人。時代に合わせて社会も変わっていくのではないかと思います」とモロッコの未来について述べた。
翌28日には、本作とクラブツーリズムがタイアップし、モロッコの旧市街を巡るオンラインツアーが実施された。レストランのオーナーでもあるサイード氏が現地の案内人を務め、青色の壁が続く美しい景色や、家庭でこねた生地を持ち込んでパン窯で焼いてもらうことができる現地のパン屋、「リヤド」と呼ばれる宿泊施設などが案内された。


最後には、美しい青い路地に色とりどりの植木鉢が印象的なフォトスポットが紹介され、参加者総勢100人以上が、本作の世界に通じる風景を楽しんでいた。


「モロッコ、彼女たちの朝」は8月13日から東京・TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開。
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