姉と弟の美しく危険な物語 コクトー×メルビル「恐るべき子供たち」4Kレストア版が10月公開
2021年6月24日 10:00

ジャン・コクトー原作、監督、脚本ジャン=ピエール・メルビルで、フランス公開70周年を記念して修復された「恐るべき子供たち」の4Kレストア版が10月に公開されることがわかった。
1920~50年代、パリで時代の寵児となったコクトー。「美女と野獣」「オルフェ」など詩・小説・絵画・演劇・批評・映画などマルチな才能を発揮した活動は当時の多くの芸術家たちに影響を与え、特にピカソやモディリアーニ、サティ、シャネル、ピアフ、藤田嗣治らとの親交は有名。日本でも澁澤龍彦、萩尾望都、寺山修司らに多大な影響を与えた。
一方、メルビルは、スタジオ式の撮影スタイルとは距離を置き、俳優たちの演技はもちろん、街頭、自宅、公共の施設など、即興性を重んじた撮影方法を敢行、以後の映画界に大きな革新をもたらし、後には、「サムライ」や「仁義」などに続くフィルムノワールのスタイルを確立していった。撮影のアンリ・ドカエもメルビルの撮影スタイルに共鳴し、この後、ルイ・マルの「死刑台のエレベーター」、トリュフォーの「大人は判ってくれない」など、ヌーベルバーグの大きなうねりの一端を担った。
本作公開時、まだ監督デビューしていなかった若きフランソワ・トリュフォーは、この映画を25回も見たとメルビルに告白し、後には「コクトー最高の小説が、メルビル最高の映画となった」と絶賛している。クロード・シャブロルも「いとこ同志」にアンリ・ドカエを迎える際に「『恐るべき子供たち』と同じ様に撮って欲しい」と懇願したそうだ。姉を演じたニコール・ステファーヌは、ロスチャロイルドの家系で育った。弟役のエドゥアルド・デルミットは、コクトーに「彼は私にとって“美”そのもの」と言わしめ、彼の寵愛の下に生涯を送った。衣装デザインはクリスチャン・ディオール。
日本語字幕は今回の公開を機に一新。「燃ゆる女の肖像」の横井和子氏が翻訳を担当し、小説版「恐るべき子供たち」の翻訳者でもあるフランス文学者・映画評論家の中条省平氏が監修した。古典と現代の表現の絶妙のバランスが、今回の新訳では遺憾なく発揮されている。また最新の4K映像は、コクトーとメルビルがこだわった美術や撮影のディテールが、深みのあるモノクロームの映像の中にクリアに表現されている。
ある雪の日の夕方、子ども達の雪合戦が熱を帯びる中、ポールは密かに想いを寄せていた級友ダルジュロスの放った雪玉を胸に受け倒れてしまう。怪我を負ったポールは自宅で療養することになるが、そこは姉エリザベートとの秘密の子ども部屋、他者の介入を決して許さない、危険な愛と戯れの世界だった。
10月初旬より、シアター・イメージフォーラムほか全国公開。
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