映連、政府に対し映画館再開を求め声明文発表
2021年5月25日 13:00
日本映画製作者連盟(映連)が5月24日夜、「『映画館』再開の要望について」と題した声明文を発表した。
声明文は、同連盟の会長・島谷能成(東宝代表取締役社長)、常務理事・迫本淳一(松竹代表取締役社長)、理事の手塚治(東映代表取締役社長)、井上伸一郎(KADOKAWA代表取締役)の連名によるもの。政府に対し、緊急事態宣言下で休業を要請されている東京都、大阪府などの映画館について、感染症対策に万全を期すことを前提に6月1日からの営業再開を認めて欲しいと要求している。
さらに、各地方自治体に対しては、感染状況に応じて映画館の利用に制限をかける際には、政府の基本的対処方針に沿った扱いをし、映画館を不平等に取り扱うことのないよう求めている。
日頃より映画業界に対して甚大なるご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、昨年来の新型コロナウイルス感染症対策に関し、国及び自治体関係者の方々、全国の医療従事者の方々の多大なるご尽力に対し、心より感謝申し上げます。
さて、この度の三度目の緊急事態宣言下におきまして、「映画館」は4月下旬より国及び対象都府県による特措法に基づく休業要請を受け、5月12日以降の期間延長後は、国の方針では特措法施行令第11条1項4号の対象施設として一定の制約条件の下に営業再開が認められたところ、東京都、大阪府等の一部自治体において、より強い措置の継続が必要との理由から、「映画館」は引き続き休業要請の対象とされました。こうした中、映画館運営各社をはじめとした映画業界は、感染拡大の危機を何としても食い止めるという社会的な要請に応えるため、苦渋の思いでこれに従ってまいりました。
一方で、全国興行生活衛生同業組合連合会が5月11日付で「映画を愛する皆様へ」として発表した声明文の通り、東京都が国の方針と異なる施設区分を適用し「映画館」に休業要請を継続した根拠につき、合理的な説明を求めてまいりましたが、これまでのところ納得いくような説明をいただいておりません。また、「映画館」におけるクラスター発生のエビデンスはなく、「人流の抑制」という観点からも、他の集客施設やイベント等と比較して特段その効果が異なるとは考えられず、業界関係者のみならず一般の方からも、「なぜ映画館だけが」と、今回の措置に対する平等性への疑問が生じているところです。
映画産業は「興行」「配給」「製作」が三位一体で構成されております。「映画館」は、製作者にとって作品発表の場であるだけでなく、投資資金の回収のための最も重要な場であります。「映画館」が長期間休業することは、それを運営する事業者だけでなく、作品を配給する事業者や映画を製作する事業者及びクリエイター等にとっても死活問題と言えます。東京都と大阪府だけでも、全国の映画館市場のシェアの35%程度を占有する最大のマーケットであり、そこでの上映ができないことは相応の収入減を意味します。さらに、こういった状況下での上映を回避するため、配給会社が公開時期の延期を決定するケースも相次いでおりますが、その場合は既に投下した宣伝経費等が水泡に帰すことに繋がります。また、このような状況が長く続けば作品の製作そのものを延期または中止するケースも想定され、そうなると製作会社のみならず、フリーランスのスタッフをはじめ多くの製作関係者の生活に多大な影響を及ぼすことになります。このように「映画館」の休業は、「興行」だけでなく「配給」「製作」その全てに携わる者が大きな経済的損害を被ることになるのです。
なお、今回の休業要請に関し、国及び自治体から規模に応じた「協力金」を拡充してご支給いただけること、また、映画配給会社に対しても一定のご配慮をいただけることにつきましては、誠にありがたく深く感謝を申し上げます。しかしながら、当業界に限ったことではないと思われますが、本来得られたであろう収入と比べれば、これらは比較にならないほど少ない金額にしかなりません。また、映画業界の中でも「製作」の現場に対しては十分な支援が有るとは言えず、今後も関係各所にご理解を求めるべくお願いしていく所存です。1年以上にわたる新型コロナウイルス感染拡大は、映画業界全体に深いダメージを与えており、何よりも一刻も早い「映画館」の営業再開による事業活動の正常化こそが求められているところであります。
以上のような厳しい業界の現状を広く関係各位にご理解いただくとともに、現下の感染状況に鑑み緊急事態宣言のさらなる期間延長の可能性が報道されていることから、映画産業に携わる全関係者を代表して、私ども(一社)日本映画製作者連盟として、以下の通り、強い危機感を持って要望する次第です。
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