亡き同性パートナーの“家族”を守るため罪を背負う 台湾アカデミー賞3冠「親愛なる君へ」7月23日公開
2021年4月27日 11:00

第57回台湾アカデミー賞(金馬奨)で3部門を受賞した「親愛的房客(原題)」(英語:Dear Tenant)が、「親愛なる君へ」の邦題で、7月23日から公開されることが決定。あわせて、ポスタービジュアルもお披露目された。
本作は、世界的評価を受けた「一年之初(一年の初め)」「ヤンヤン」など、人と人のつながりや人生模様、アイデンティティを描くことに長けたチェン・ヨウチェが5年ぶりに監督を務めた作品。ち密で繊細なストーリーラインで描いたのは“愛の極限”。ミステリアスで重厚なサスペンス調の展開を匂わせつつ、徐々に真実が解き明かされていくと、温かな情感あふれる結末まで一気に導かれる。
老婦・シウユーの介護と、その孫のヨウユーの面倒をひとりで見る青年・ジエンイー。血のつながりもなく、ただの間借り人のはずのジエンイーがそこまで尽くすのは、ふたりが今は亡き同性パートナーの家族だからだ。彼が暮らした家で生活し、彼が愛した家族を愛することが、ジエンイーにとっては自分の人生のなかでパートナーが生き続ける唯一の方法。何よりの弔いになると感じていたからだ。
しかしある日、シウユーが急死してしまう。病気の療養中だったとはいえ、その死因を巡り、ジエンイーは周囲から不審の目で見られるように。警察の捜査によって不利な証拠が次々に見つかり、終いには裁判にかけられてしまう。しかし弁解を一切せずに、なすがままに罪を受け入れようとするジエンイー。それは、愛する“家族”を守りたい一心で選択したことだった。
第57回台湾アカデミー賞では、最優秀主演男優賞(モー・ズーイー)、最優秀助演女優賞(チェン・シューファン)、最優秀オリジナル音楽賞を受賞。シウユー役の名演が光り“国民のおばあちゃん”と称されるシューファンは「弱くて強い女たち」で最優秀主演女優賞に輝き、女優賞を独占する快挙を果たした。ズーイーは、第22回台北映画奨、第2回台湾映画評論家協会奨で最優秀主演男優賞(台湾映画評論家協会奨は、主演・助演の区別がない最優秀男優賞)を獲得している。
ポスターは「愛するが故に言えないことがある 間借り人は少年にとって“もうひとりのパパ”」というコピーが添えられ、ジエンイー、血の繋がりのないヨウユーが海辺で抱き合うカットを使用。また、同性パートナーが生きていた在りし日の幸せな家族の食卓の光景も活写されている。
「親愛なる君へ」は、7月23日から東京・シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開。
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