【第93回アカデミー賞】「ノマドランド」中国出身のクロエ・ジャオが監督賞! 女性で2人目、アジア系女性としては初
2021年4月26日 09:59
第93回アカデミー賞の授賞式が4月25日(現地時間)、米ロサンゼルスで開催され、中国出身の女性監督のクロエ・ジャオが「ノマドランド」で監督賞に輝いた。ジャオ監督にとっても、アジア系女性としても史上初の監督賞となった。また、女性が監督賞を受賞したのは、2009年の「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督以来11年ぶり、2人目。
授賞式では韓国の劇場からの中継で、昨年の監督賞「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノからその名前を読み上げられたジャオ監督。アカデミー、他のノミニーに感謝を述べ、「『ノマドランド』に携わったみなさま、一生に1度の経験をともにすることができました。最近よく、大変なときにどう前進すればいいのかと考えます。そこで、子どもの頃に学んだことを振り返っています。中国で育ったとき、父と古典的な詩や文章を暗記して、お互いの文章を完成させるゲームをしていました」と振り返り、「人は生まれつき善良である」という詩の一部を紹介。「心から信じていることがあります。ときには逆境に置かれていると感じることがあるかもしれませんが、世界中どこに行っても善良な心があると思っています。私はいつも、出会った人々の中に善意を見出してきました。この賞を、たとえそれがつらくても、善意を持ち続ける信念と勇気を持つ人たちに捧げます」と、思いの丈を述べた。
中国の北京出身。ロンドンの寄宿学校とロサンゼルスの高校でポップカルチャーを浴び、大学では政治科学を専攻。職を転々とした後にニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・アートで映画制作を始め、短編「Daughters」(10)で高い評価を得る。現代のアメリカインディアンの若者の生活を描いた長編第1作「Songs My Brothers Taught Me」(15)、同じく現代に生きるカウボーイを追った第2作「ザ・ライダー」(17)はともにカンヌ国際映画祭で上映され、後者がインディペンデント・スピリット賞の作品賞及び監督賞の候補となるとともに、自身は気鋭の女性監督に贈られるボニー賞を受賞。マーベル映画「エターナルズ」(21)の監督にも抜てきされている。
「ノマドランド」は、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」を原作に、フランシス・マクドーマンド主演で、実際の車上生活者を起用するなどドキュメンタリー映画的な手法を用い、アメリカが抱えた社会問題とともに、季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る女性の暮らしを壮大かつ詩的な映像で描く。ベネチア国際映画祭の金獅子賞、トロント国際映画祭の観客賞、ゴールデングローブ賞作品賞ドラマ部門と監督賞に選出されている。第93回アカデミー賞では、作品賞含め計6部門でノミネートされた。
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