夢の豪華共演が実現した「新しい時代を作る作品」 「東京リベンジャーズ」プロデューサーがビジョンを語る
2021年4月21日 09:00
北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮。若手トップクラスの俳優たちが集結し、シリーズ累計発行部数1000万部を突破した和久井健氏の人気コミックを映画化する「東京リベンジャーズ」が、7月9日に公開となる。次世代を担う俳優たちとともに、本作を「時代を作る作品にしたい」と意気込む岡田翔太プロデューサーに、企画の経緯、キャスティングの理由、現場で目撃したキャスト同士のエピソードなどについて、話を聞いた。
物語の主人公は、どん底の生活を送るダメフリーター・花垣武道(通称タケミチ/北村)。ある日、かつて交際していた人生唯一の彼女・橘ヒナタ(今田)と弟・ナオト(杉野)が、事故に巻きこまれ命を落としたことを知る。翌日、何者かに命を狙われたタケミチが死を覚悟した瞬間、ヤンキーだった高校時代にタイムリープ。ヒナタを救い、逃げ続けてきた人生を変えるため、タケミチは事故の原因があると思われる最凶の不良組織「東京卍曾」に潜入し、総長・佐野万次郎(マイキー/吉沢)や副総長・龍宮寺堅(ドラケン/山田)らと出会う。
企画の始まりは、スマートフォンに4900冊の漫画を入れているほど、無類の漫画好きだという岡田プロデューサーと原作との出合い。2017年、ちょうど映画の企画を探していた頃だった。
「シンプルに読者として読んでいて面白かった。それと同時に、私が若い頃に見た『ROOKIES』や『ウォーターボーイズ』など、男子がわーっと盛り上がっている作品が、昨今あんまりないなと感じていました。当時はいわゆるキラキラのラブコメものが全盛期で、最近は男くさいものがないなと、ずっと思っていたんです。そして小栗旬さん世代、菅田将暉さん世代を拝見していて、その次の世代で、新しい時代を作りたいなという思いがすごくあった。小栗さんにとっての『クローズZERO』、菅田さんにとっての『帝一の國』のように、次の世代としての代表作を作りたいなと考えていました。『東京リベンジャーズ』が、その作品になるんじゃないかという予感が、原作4巻のあたりで生まれて、企画を進めていきました」
メガホンをとるのは、「映画 賭ケグルイ」「ぐらんぶる」など、数々の漫画を映画化してきた英勉監督。岡田プロデューサーと英監督の間には、ある共通の思いがあったという。
「私と英監督の間で圧倒的にシンパシーが生まれたポイントであり、原作の魅力でもあるのは、ヤンキー漫画なのに、主人公がヤンキー気質ではないこと。等身大の普通の男の子が、ヤンキーに立ち向かう話がすごく良かった。男子って皆、強い男に憧れるけど、大体そうはなれないじゃないですか。でもそんなやつでも、勇気を出して頑張れば、守るものがあれば、強いやつらに立ち向かっていけるんだよという話が、すごく刺さりました。アクションであり、SFであり、ラブストーリーでもあるので、要素がめちゃくちゃ多いなと思った時に、『トリガール!』のような、バタバタした青春劇も描くし、『映画 賭ケグルイ』のような、すごく振り切れた漫画原作の実写化もするし、幅広く作品を演出される英監督にぴったりだなと思いました」
「原作ファンの自分から見ても、まずタケミチ、マイキー、ドラケンが完璧じゃないと、やらない方がいいと思うんですよ」と語るほど、キャスティングに心を砕いた岡田プロデューサー。そして実現したのは、主人公・タケミチ役の北村、マイキー役の吉沢、ドラケン役の山田という布陣だ。北村は、喧嘩は弱いがヒナタを救うため、そして負け続きてきた人生に“リベンジ”するため、何度でも立ち上がるタケミチを演じた。
「いかにもヤンキー映画の主演という感じの人に、この作品をやってほしくなかった。ヤンキーじゃないのに、ヤンキーの世界で戦うという話ですから。そういう役に、北村くんはぴったりだと思いました。本人はすごく熱いものを持っているし、幅広い顔を持っていますが、『君の膵臓をたべたい(2017)』の品行方正で純粋な少年というイメージもやはり強くて。そういう顔とは違う北村匠海がすごく見たいなと思いました。依頼に行ったとき、北村くんが企画を知る前なのに『東京リベンジャーズ』を読んでいて。『タケミチをやるなら、絶対俺だよな』と思ってくれていたそうです」
吉沢は、圧倒的に喧嘩が強く、そのカリスマ性で不良たちのトップに君臨するマイキーを体現。
「吉沢くん以外に、この世界でマイキーを演じられる人、いないと思うんですよ。小柄な感じで、かわいい顔をしていて、最強。最初から『マイキーは吉沢くんしかいない、断られたらこの企画自体を止めよう』と思っていました」
マイキーの親友であり、何よりも友情を大切にする懐の深さで仲間たちから慕われるドラケン役を、山田が担った。ドラケンのトレードマークである金の辮髪、こめかみの龍の刺青、ピアスなどを完全再現し、原作のビジュアルに近付けた。
「山田くんは最初から、『辮髪をやるんだったら、地毛じゃないとやれない』と言ってくれていました。普通に考えたら、あの髪型ができる俳優はそんなにいないですよね。やりたいと思う人はいっぱいいると思うんですが、他の作品のことを考えるとできないということもあるだろうし。『やりたい』と言って本当にやってくれる人は、山田くんしかいない。山田くん本人が、同時期に撮っていた他の作品に頼んでくれて、他の作品をかつらでやってくれたりして。そこまでして、この髪型をやってくれた。それだけ彼がドラケンに息吹を注いでくれたということが、間違いなく伝わる画になっていると思います」
劇中では、一対一のタイマン勝負から、不良グループの大規模な抗争まで、様々な喧嘩が描かれるため、アクションの見せ場も多い。岡田プロデューサーは、「ドラマが見える、人の感情が伝わるアクションにしてほしい」というこだわりをもって、英監督や、アクション監督を務めた諸鍛冶裕太とともに、アクションシーンを丁寧に作り上げていった。
「まず、タケミチのアクションはめちゃめちゃ泥臭くて、『頑張れ!』と応援したくなる要素は絶対に入れたいなと思いました。だから生身のようなアクションがすごく多いかもしれないですね。逆にマイキーとドラケンは、物語において異次元の存在なので、ふたりのアクションは本当にスタイリッシュでキレキレで、すごいですね。めちゃくちゃかっこいい。特にマイキーのハイキックは、原作並みにすごいですよ。その完成度には、現場で『お~』って歓声があがりました」
本作は20年3月中旬に撮影が開始され、当初4月末で撮影を終える予定だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などで、撮影は2度にわたり中断。キャスト陣が非常に多忙であることも重なり、撮影期間は45日から309日に延び、近年では異例ともいえる長期間となった。
「俳優同士はめちゃくちゃ仲が良くて、撮影が中断している間も、一緒にオンラインゲームをしたりして、やりとりをしていたようです。みんな気持ちをつなぐことがいちばん大変だと思うんですよ。2回も撮影中断になるようなことは、いまだかつて無かったと思います。俳優やスタッフが、誰かひとりでも『もうやめましょうよ』と言ったら、たぶんこの作品は完成しなかった。でも、『やめよう』と言った人はひとりもいなかったので、そこはすごく信頼感があった。さすがに(2回目の撮影中断があった)6月から半年が経ち、21年1月に入って『久々過ぎて忘れました』というようなことはあったんですが(笑)、モチベーションは皆、ひとつも落ちていない。俳優部の気持ちに支えられて、チーム全員最後までやり切れるなと感じることができました」
そして、最後に岡田プロデューサーは、撮影のなかでキャスト同士の絆を感じたというエピソードを教えてくれた。それは、プライベートでも仲が良いという北村と磯村の芝居のシーンで、ふたりが見せた涙。磯村は高校時代のタケミチの親友・千堂敦(アッくん)に扮した。岡田プロデューサーは、「全キャラクターのなかでいちばん、タイムリープの時間軸に翻ろうされる男なんですよ。タケミチのアクションで、人格がどんどん変わっていく、いちばん影響が出る役。アッくんの変ぼうで、タケミチの行動を確認していく物語ですから。『ひとりで何役やるの?』というくらい、すごく幅広くて難しい役どころ」と、難易度の高さを語る。さらには、「キャスト同士の関係性が絶対に作品に現れる」という思いもあり、高い演技力を誇り、なおかつ主演の北村と個人的な結びつきがある磯村に、役を託した。
「去年、タケミチとアッくんふたりだけの、すごく大事な、物語のなかでも泣けるシーンの撮影があったんです。実はそのシーンで何度もテイクを重ねたんですが、毎回北村くんと磯村くんが涙を流していた。何十回も涙を流していた。普通は泣きの芝居というのは、そんなに何回もできないんですが、毎回泣いていて、本当にすごいなと。撮影後、それぞれに『今日は本当にすごかったね』と声をかけたら、示し合わせたように、『いっそん(磯村)が相手役じゃなかったらこんなに泣けなかった』(北村)、『匠海が相手役じゃなかったらこんなに泣けなかった』(磯村)と言ったんです。親友としての本来の絆があって、それがシーンに現れているなと思いました」
まさにキャスト同士の役を超えたつながりが、物語に大きく作用した瞬間だった。
岡田プロデューサーは、「東京リベンジャーズ」が初の単独プロデュース作品となる。それだけに、本作にかける思いが並大抵のものではないことが、言葉のひとつひとつから伝わってくる。撮影の合間を縫って応じてくれたインタビューで繰り返し語っていたのは、キャストたちに寄せる絶対的な信頼と尊敬。そんなプロデューサーの“熱”に突き動かされ、また同様に「世代を代表する作品にしたい」と、特別な思いを抱く珠玉の役者たちが集まっている。原作漫画には、大切な仲間を守るため、命を削って喧嘩に挑むキャラクターたちが描かれている。そして映画の現場でも、そんな漫画に負けず劣らず、熱い思いを胸に秘めた人々が戦っていた。役を超えた絆や思いが宿る――本編には、そんな瞬間がいくつも刻まれていることだろう。
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