多額の身代金、政府の非情な通告 知られざる人質交渉の裏側描く本編映像
2021年2月10日 16:00

IS(イスラム国)の人質となりながら、奇跡的に生還したデンマーク人写真家ダニエル・リューの実話を映画化した「ある人質 生還までの398日」の本編映像の一部が披露された。知られざる人質交渉の裏側が垣間見られるシーンを収めている。
本作の原作は、ジャーナリストのプク・ダムスゴーが書き上げた「ISの人質 13カ月の拘束、そして生還」(光文社新書刊)。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニールス・アルデン・オプレブと、人質救出の専門家という重要な役で本作に出演しているアナス・W・ベアテルセンが共同監督を務め、ISの真実を人質の視点で初めて内側から本格的に描いた映画としても注目されている。
披露されたのは、ダニエルを助けるため、人質救出の専門家アートゥアに依頼した家族が、その現実に苦悩する場面。身代金70万ドルを要求されるが、ダニエルの父は家を担保にしても約25万ドルしか用意できなかった。
ダニエルの誘拐犯と直接交渉にあたるアートゥアは「身代金を少なく提示すれば彼らは侮辱されたと受け取る」と発言し、悩む父は外務省担当者にアドバイスを求めるが「決めるのはご家族です」と返され、困り果てる。家族、人質救出の専門家、そしてデンマーク政府関係者、それぞれの立場と考え方が交錯し、人質交渉の知られざる裏側と、ダニエルを諦めたくない家族の苦悩がにじむ場面となっている。
ダニエルと同じデンマーク出身のアルデン・オプレブ監督は「ダニエルの物語が、私たちの国及び政治家の、アメリカに対する忠誠心を浮き彫りにしていること」を、この物語が重大な意味を持つ根拠としてあげている。「言うまでもなく、テロリストとの交渉に反対の意を示すという独断的な考えは、他に選択肢のない家族を助けることにはならず、ひとりひとりに大きな影響を及ぼす」と指摘している。
「ある人質 生還までの398日」は2月19日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町にて公開。
(C)TOOLBOX FILM / FILM I VAST / CINENIC FILM / HUMMELFILM 2019
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