篠田正浩監督×坂東玉三郎主演「夜叉ヶ池」4Kデジタルリマスター版で42年ぶりによみがえる
2021年1月28日 13:00
配給大手の松竹は、松竹映画100周年記念プロジェクトの締め括りとして、1979年10月20日に封切られた篠田正浩監督、坂東玉三郎(5代目)主演作「夜叉ヶ池」を4Kデジタルリマスター版で42年ぶりによみがえらせることを発表した。
泉鏡花の戯曲を映画化した今作は、夜叉ヶ池の龍神伝説を題材にしている。女形の玉三郎が初めて映画に出演し、村で暮らす女性・百合と夜叉ヶ池の竜神・白雪姫の1人2役に挑んだことで大きな話題を呼んだ。共演陣も豪華で、百合の夫で鐘楼守として暮らす晃を加藤剛、失踪した晃の足跡を追う学者の山沢を山崎努が演じている。
また、鏡花の幻想的な世界観を実現するため、日本の特撮技術の基礎を築いた矢島信男を招聘。クライマックスの洪水のシーンを撮るため、ブラジルのイグアスの滝、ハワイをはじめとする海外ロケを敢行した。そして矢島特撮監督の指揮のもと、当時の大船撮影所の第8ステージを大改造して作ったセットで、50トンの水を使って村が流されるクライマックスの大洪水のシーンを成功させた。
公開当時には、巨匠マーティン・スコセッシが今作を絶賛。篠田監督に宛てた手紙(一部抜粋)が今回、披露された。
しかし、劇場公開後はテレビ朝日系「ゴールデンワイド劇場」で1度放送されただけで、現在までDVD発売などのソフト化されておらず、幻の作品と言われてきた。それだけに、100周年記念プロジェクトを契機に多くの映画ファンの目に触れる機会を得たことになる。昨夏、篠田監督と玉三郎が再会し、現代を生きる人々に観てもらいたいという思いが一致したことで、プロジェクトが始動。2人の全面協力による監修を経て、音や映像のきめ細やかな修復作業を何度となく行い、4Kデジタルリマスター版が完成した。
3月にCSの衛星劇場での2K放送(「夜叉ヶ池」放送記念 生誕90年 篠田正浩監督特集と題し、「乾いた花」「異聞猿飛佐助」「あかね雲」も放送)を皮切りに、今夏に篠田監督特集上映として東京・ユーロスペースでジャパンプレミア上映。その後、全国で順次公開を予定しているほか、同時期にはブルーレイが発売されるという。
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