ある出来事をきっかけに結びつき、年に1度集まっている3組の夫婦と1人の独身男性。今年も楽しい時間を過ごすはずだったが、1人の参加者の発言をきっかけに、それぞれのスマホに届く全てのメールと電話を全員に公開する禁断のゲームを始める。東山紀之が独身男性役で主演を務め、50代のセレブ夫婦を鈴木保奈美&益岡、40代の倦怠期夫婦を常盤貴子&田口、30代の新婚夫婦を木南晴夏&淵上が演じている。
――NHK連続テレビ小説「ひよっこ」や映画「
世界から猫が消えたなら」などを手掛けた
岡田惠和さんが脚本を担当されました。脚本の印象と撮影の様子を教えてください。
益岡:一つの条件でこんなにおたつくというのが読んで面白いなと思いました。さりげない会話の積み重なりで、窮地や引き返せないところまでいく。最終的にどうなるんだろうと興味深かったです。
田口:会話だけでそのキャラクターが見えてくるのが面白かったですし、素晴らしい脚本だなと思いました。益岡さんとは過去にもたくさん仕事をして、あの作品もやったよねって話をしていたのですが、実は打ち上げの時に岡田さんから「益岡さんとは何回もやっているよね。僕の本でもやったよね」と言われて。「ん?」って思っていたら、「『アルジャーノンに花束を』だよ」って言われたことがあって、驚きました(笑)。
益岡:当時はまだ打ち上げができたから、そういう話もできたよね。この作品の撮影をしていたのは、ちょうどコロナウイルスについて報道がされ始めた頃でした。
淵上:僕は自分の役から始まっていたので、大変だなと思いました。あとは、冒頭にダンスをしないといけなかったのですが、ダンスはしたことがなかったので、東山さんに教えてもらおうと思いました(笑)。でも、ダンスがうまいという設定でもなかったので、なんとかやってみたのですが、プレッシャーもありました。
田口:稽古では脚本を持ちながらやっていましたが、プロデューサーから「それは年内までで、新年明けたら外してくださいね」と言われるプレッシャーもありましたよね。
益岡:いやいや、セリフしっかり入っていたじゃないですか。
田口:何を言ってるんですか(笑)。みんなに会う度に「覚えた? 今日は外す?」っていう会話をしていました。僕の役は、(妻を演じた)常盤さんがしっかりと受け止めてくれて、東山さんもそうですし、みんなにかわいがられた役だったと今になって思います。みんながあのセットに集まって、他愛もないことを話したりして、あの映画のなかのような雰囲気ができていきました。記録さんに言われる前にみんなが自分からお水を足そうとしたり、自然とそういう空気があったんです。
益岡:岡田さんのさりげないセリフのおかげもあったよね。
――劇中では驚きの秘密が暴かれるシーンもありますが、皆さんは携帯のなかに秘密はありますか?
田口:ありますね。
淵上:あります。
益岡:(考えた表情で)どうなんだろうな。
田口:益岡さんはないですか。
益岡:別にそんなにないかもしれないです。
田口&淵上:すごいですね。
田口:僕は秘密があると言いましたが、どんな秘密かはざっくりでも言わないですよ(笑)。
――新年すぐの公開となりましたが、2020年はお三方にとってどんな年でしたか?
益岡:2020年は、コロナウイルスの影響もあり、いろいろと生まれて初めてのことを経験した1年でした。楽観視したくなる気持ちもありますが、まだまだ厳しい状況です。自粛期間中は仕事がストップしてしまい、仕事がないときの役者は無職に近いなと感じています。この2020年を後でどう振り返るのか興味はありますね。先日、舞台をやったとき、お客さんに笑い声などを控えてもらって、役者仲間が楽屋を訪ねてきてくれることもないです。不思議な感覚でしたよね。なので、さまざまな影響もあるなか、この作品を皆さんにお披露目することができて本当に嬉しいです。
田口:本当に、この作品はよく公開までいってくれたなと思います。(全員が近い距離で並んだ本作のチラシを見ながら)あの頃幸せだったんだなという感じですよね。そういう意味でも、この作品は忘れられない作品になりました。2020年を振り返ったとき、ここにいたって必ず思い出します。
淵上:お2人がおっしゃったように、あと1カ月タイミングが遅かったら撮影自体が遅れて、公開も危なかったかもしれないです。本作に携わったスタッフの皆さんの熱意もあるので、公開できることが嬉しいです。昨年はネズミ年で僕は年男だったのですが、コロナをきっかけに自分の役者人生も見つめ直す1年になりました。今年は体調管理をしっかりして、頑張っていきたいです。