世界が覆われたような気がした――窪田正孝が語る「えんとつ町のプペル」と現実のリンク
2020年12月25日 17:00
お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣による大ヒット絵本を劇場アニメ化した「映画 えんとつ町のプペル」が、12月25日から全国公開された。「この作品は、2020年に公開すべき映画だと思います」と語るのは、ゴミ人間のプペルの声優を務めた窪田正孝。その思いを聞いた。
本作は、いつも黒煙に覆われ、空を閉ざされた“えんとつ町”を舞台に、星を信じる少年ルビッチと、ハロウィンの夜に現れたゴミ人間プペルが巻き起こす“信じる勇気”の物語。ルビッチの声は芦田愛菜が担当し、そのほか、立川志の輔、小池栄子、「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、宮根誠司らが出演している。
“ゴミ人間”という特殊なキャラクターに挑んだ窪田は「あまり考えすぎないでやろうと思っていました」と振り返り、製作総指揮・原作・脚本を務めた西野を含め、スタッフ陣と共にプペルの声を作り上げていった。
「原作の絵本を読んだインスピレーションのままやってみて……というのもありました。西野さんたちからは、どうやってほしいとかではなく、『やりながら探っていきましょう、僕らもわからないので』というのを最初に言っていただきました。僕もアフレコの場に立って、動く映像を見させていただくなかで生まれたものでやらせていただきました。大きい枠からやってみて、段々絞られていって、最後にビシッとした線になってプペルができた感じです」
ルビッチ役の芦田とは一緒にアフレコも経験し、「一人でアフレコをしたときには掴めない部分もありましたが、一緒のアフレコでは愛菜ちゃんの才能に引っ張ってもらいました。一緒にできたのは短い時間でしたが、ルビッチに影響されてプペルが形成されていく過程を感じることができました」と話す。
芦田の印象については「プロフェッショナルでしたね。ルビッチの表情一つ見逃さず、『今の瞬間しゃべっていませんでしたか』って気が付いて、うまく声や吐息を入れられる。すごいな、本当に一回り違うのかなって(笑)」と驚きつつ、「でも、年齢は関係ないですよね。刺激をいただいたし、そこはプペルにも反映されていると思います。愛菜ちゃんが本当に多方面からルビッチのことを見ていたので、声に立体的なものが生まれていました。僕も自然にそういう形になっていく、後についていくイメージがありました」と明かす。
今年はコロナウイルスの影響もあり、鑑賞者のなかには、黒煙で覆われた「えんとつ町」が描かれる本作と、現実世界を重ね合わせる人も多かった。西野も触れていた部分であり、窪田も「西野さんがおっしゃっていたように、今年は世界が覆われたような気がしました。人と人がつながっていた、当たり前の日常が当たり前ではなくなってしまって、この作品と現実がリンクするところはあると思います。今年はこれができなかったけれど、来年こそできると“信じる”ということにも、星を信じるルビッチの思いにもつながるんだなって」と指摘する。
窪田にとっても、今年は仕事と人生を考えるきっかけになったという。
「もともとは仕事をずっとしたい方だったのですが、プライベートの時間も大事にして、その時間にインプットをして、仕事でアウトプットをしていきたいと思うようになりました。今までは仕事がすべてでしたが、もう30代なので、20代の頃とは違う考え方にもなってきています。仕事面では、去年から朝ドラ『エール』をやらせていただいたので、まずこんな状況になっても仕事があることは恵まれているなと感じました。気軽に人が集まれなくなってきて、作品を作るのにも今までとは違う苦労があるなかで、『エール』では一人の一生を疑似体験することができました。得た出会いも大きかったので、この経験は今後に生かしたいです」。
最後に、改めて「今年はいろいろありましたが、この作品がクリスマスに公開されるのも、なるべくしてそうなったと思います」と話した窪田。その言葉通り、きっと特別な“クリスマスプレゼント”になるはずだ。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。