【「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」評論】ハリウッドに影響を与えた日本アニメのマスターピース、哲学的な問いをエンタメに昇華
2020年12月20日 15:00

「マトリックス」を筆頭にハリウッドSF映画に大きな影響を与え、2017年にはスカーレット・ヨハンソン主演でハリウッド実写映画化もされた、日本アニメのマスターピースのひとつといえる1作。公開から四半世紀を経てもその魅力は色あせず、原作者・士郎正宗の漫画をもとに、Netflixで配信中の「攻殻機動隊 SAC_2045」などシリーズ関連作が製作され続けている。
押井守監督とProduction I.Gの名を世界に知らしめた本作の制作期間は1年あまりと、劇場アニメにしては短い。これは押井監督の前作「機動警察パトレイバー2 the Movie」に参加した凄腕アニメーターたちが続けて参加できたことが大きい。押井監督がカメラのレンズを意識した構図とあわせて取り組んでいた、原画作業の前に各カットの設計図となる背景とキャラクターを専門のスタッフが描くレイアウト・システムも効果を発揮している。
作品のムードを決定づけた川井憲次による音楽も画期的だった。ヨーロッパ・ブルガリア地方の伝統民謡であるブルガリアン・ボイスから着想され、日本民謡を手がけるグループ西田社中が歌う楽曲は一度聴いたら耳から離れない独特の雰囲気がある。
香港ロケをもとに雑多な街並みを緻密に描いた美術、ミリタリー・メカガジェットの魅力にくわえ、身体性のテーマが貫かれているところにも着目したい。体の大半をサイボーグ化した主人公の草薙素子は、自分を制約するハードウェアとしての身体をもてあましているように描かれ、終盤で多脚戦車と戦うさいには自身の肉体が破壊される様子が克明に映される。
機械の体を実在感のあるものとして徹底したリアリティで描き、日本古来の神道の要素も取りいれることで、人間の魂(ゴースト)はどこに宿るのかという哲学的な問いを浮かびあがらせる。押井監督の持ち味であるペダンティックな会話劇と娯楽映画としてのバランスも絶妙だ。
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