「スパイの妻」銀獅子トロフィー初披露! 黒沢清監督「監督賞ではありますが“皆のもの”」
2020年10月7日 21:35
黒沢清監督の最新作「スパイの妻 劇場版」の生配信イベントが10月7日、東京・渋谷のユーロライブで行われ、黒沢監督のほか、蒼井優、高橋一生が出席した。黒沢監督らは、第77回ベネチア国際映画祭での銀獅子賞(監督賞)受賞後、初めての公の場。貴重な銀獅子トロフィーも披露された。
銀獅子賞(監督賞)が日本映画にわたったのは、北野武「座頭市」(2003)以来17年ぶりの快挙。黒沢監督は「ニュースを聞いた時は『やった』と思いつつ、ほとんど実感がわかなかったんです。数日前、トロフィーがやっと届きました。大袈裟かもしれませんが、これを見ると『映画の歴史に名前が刻まれたんだな』と。監督賞ではありますが“皆のもの”ですよね。僕が監督している現場を誰も見てないですよね。寝てたかもしれませんよ? やはり作品が獲ったということでしょう」としみじみ。蒼井と高橋は「(トロフィーを)こんな近くで見ることなんてないですよね。触れる距離にありますけど、触ろうと思わない。それくらい“圧”がある」(蒼井)、「同じくです。現実感がないんですよ。ここにあるってことが」(高橋)と感想を述べていた。
蒼井は、3度目の黒沢組の日々を「黒沢監督の映画にどっぷりと浸かるのが夢だったんです。本当に多くのことを学びました」と振り返る。生配信の視聴者から寄せられた「想像と違ったことは?」という質問に対して「いっぱい頭を使って、出来上がった映画を想像しながら現場にいたはずなのに、完成したものが想像の何百キロ先の作品になっていたんです。自分の想像力の乏しさというか……強度のある映画とはこういうことなんだと。感動しました」と打ち明けた。
一方、黒沢監督と初タッグとなった高橋は「(芝居には)心と体、大きく分けて2つあると思います。監督はどちらかというと“動き”を演出してくださるという印象が残っている」と説明。「例えば、黒沢さんが『白』と言うものに対して、僕が『白』を出すことが違うということを理解してくださっている。心を説明し合ってすり合わせるよりも、肉体を使った『行動はここから、ここまで』という演出方法。すると、ある意味、心を自由に動かすことができる。ポイントポイントでくさび打ちだけをしてくださる。それは画角の外に出れてしまう自由さ。絵の中に入っていなくても“語れる”――その可能性を感じ取ることができました」と語っていた。
「ロマンスドール」に続き、夫婦役を演じた蒼井と高橋。「それぞれの魅力は?」という問いかけに対して、互いへの厚い信頼を打ち明けた。
高橋「(妻役が)蒼井さんだと聞かされて、思わず『やった』となりましたね。全幅の信頼を寄せているので、芝居をするのが楽しみで仕方なかったんです。本番が始まってカットがかかった後の何気ない会話が好きでした。日常の会話を重ねつつ、芝居での会話もできる。気を遣わず、楽しく過ごしていました」
蒼井「本当に尊敬している先輩なんですが、一緒に何かを作るという事をさせていただけることが、とてもありがたくて……。一緒に歩んでくださることに感謝しています。こんなに大きな作品をやらせていただいたんですが、出来ればまた共演したいです」
「スパイの妻 劇場版」は、10月16日から東京・新宿ピカデリーほか全国順次公開。
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