福永壮志監督に聞く「日本人監督が世界の共感を得るためになすべきことは何か!」
2020年9月19日 19:00

[映画.com ニュース]長編映画第2作「アイヌモシリ」でトライベッカ映画祭審査員特別賞を受賞した福永壮志監督に聞くオンラインセミナー「日本人監督が世界の共感を得るためになすべきことは何か!」が、9月18日に開催された。
このオンラインセミナーは、特定非営利活動法人 映像産業振興機構(VIPO)が、文化庁より受託し実施している「令和2年度日本映画海外展開強化事業」の連携企画。日本映画を海外で上映・紹介するだけでなく、日本の映画・映像クリエイター向けにアメリカ映画界のプロフェッショナルによる実践研修も実施している。今回は、実践研修のアドバイザーでもある福永監督を招聘して話を聞いた。
福永監督は、ニューヨークで制作した長編映画第1作「リベリアの白い血」が世界で高い評価を受け、10月17日より日本公開される最新作「アイヌモシリ」が、日本人として初めて第19回トライベッカ映画祭で審査員特別賞を受賞するなど、現在、欧米で注目を集める数少ない日本人映画監督の一人だ。セミナーには福永監督に加え、「アイヌモシリ」の日米プロデューサー、三宅はるえ氏とエリック・ニアリ氏も登壇。聞き手は早稲田大学名誉教授の安藤紘平氏が努めた。
北海道出身の福永監督は、2003年に渡米して映像制作を学び、ニョーヨークへ拠点を移して活動。カンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン・レジデンスや、NHKサンダンス脚本ワークショップなどにも参加し、世界各地から集まる若手監督との交流経験もある。日本のクリエイターが日本国内だけでなく、世界マーケットも視野に入れた作品つくりをする上で、求められることについて「興行的なメリットがなくても、作品の力が強ければ興味を示してくれる。海外映画祭でネットワーク作り、関係性を作ることも大事だ」と述べた。
「アイヌモシリ」を制作するに至った経緯については、「長編2作目ということもあり、経験のあるプロデューサーを見つけなければならなかったが、ベルリン映画祭で『リベリアの白い血』を見て気に入ってくれたエリックが手伝ってくれることになり、その後、国内の映画祭で知り合っていた三宅さんが参加してくれることになった」と福永監督。エリック氏は「アイヌをテーマに撮りたいと聞き、とても興味を持った」とし、三宅氏も面白いと思い一緒にやることを決めたという。福永監督は「今まで作られたものとは違う、北海道出身の僕だからこそフラットな視点で描けると思った」と理由を語った。
また、海外との共同製作についてエリック氏は「大変だが、海外は作品の本質が大事。出口を先に決めないで、本当に自由にクリエイティブに仕上げることができた」、三宅氏は「日本映画とは違う作り方をした。このテーマをやるからには、クリエイティブを重視する必要があると思った。合作だから作ることができた」と振り返り、上手く役割分担ができたという。
福永監督は「一つ海外映画祭にひっかかると次につながっていく。脚本ラボを海外の監督は使っているので、日本の監督たちも積極的に使っていくべき」とし、「日本人の視点から何ができるのかがユニバーサルなものになるので、足場を固めて世界に向けて作ること。言葉は関係ない時代になってきているので、自分と作品に向き合うことが大事だと思う」などと日本のクリエイターに向けてアドバイスした。
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