衝撃の実話を映画化した「オフィシャル・シークレット」 キャサリン・ガン本人はどう見た?
2020年9月3日 20:00

[映画.com ニュース] イラク戦争開戦前に、英米政府の不正行為を全世界にリークしたキャサリン・ガンの実話を映画化した「オフィシャル・シークレット」(公開中)。映画化に協力したガン本人が、本作について語った。
2003年、イラク戦争開戦に向け、米国と共同歩調を取る英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)に勤務するガンは、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から、あるメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を促すそのメールに彼女は強い憤りを感じ、マスコミにリークする。後に世界中で“キャサリン・ガン事件”として大きな政治問題となった実話を、それぞれの当事者の立場から描く。
2008年に映画の基になった自叙伝を出版してから、実際に映画が完成するまで10年かかった。ガンは「映画化の話は以前から出ていたのですが、インディペンデント映画を立ち上げるのがこれほどまでにゆっくりだとは思いませんでした。実現しないと思っていました」と振り返る。
監督がギャビン・フッドに決定してからも、彼は1年かけて徹底的に調査し、ガンへのインタビューを提案。今でも公務秘密法の縛りの中にあり、すべてを話すことはできないながらも、快く取材に応じたガンは「監督はとてもエネルギッシュで情熱的。私たちは1週間を一緒に過ごし、いろいろ試行錯誤しました。監督は私に最初から最後まで何もかも話してほしかったのです。彼の頭の中で明確に理解できるようにね。彼と会って私はとても安心しました。誠実にこの作品を動かす中心人物だとわかったからです」と絶大な信頼を寄せる。

自身の経験を映画化することについて、「GCHQを追われてからは、すぐに友人全員を失いました。だからとても孤独でした。ただ座って、ふさぎ込んでいるだけの人間を映画化するのはとても難しいですよね。だから、私たちはあらゆることを話し合ったのです」と、孤独な闘いをどう描くか、フッド監督と相談を重ねた。
本作でガンを演じたキーラ・ナイトレイとも面会したそうで、「撮影が始まる前にキーラと会いました。彼女が私と会いたがっていたからです。フッド監督と3人で食事をしましたが、彼女がレストランに入ってきてすぐに私はリラックスしました。彼女が近づいてきて、私を抱きしめてくれたから。キーラは、当時の私があらゆる場面においてどう感じていたのか、私の心の変遷について知りたがっていて、たくさん質問してくれました」と話す。
完成作を見て「ほぼ正確に描かれていて、過去に連れ戻されたようでした。目の前で繰り返される場面を見て、とても奇妙な感覚に襲われました。あの時の感情の波が押し寄せてきたのです」と率直な感想を述べる。「15年経っても同じことの連続です。本当に衝撃的な状況ですよね。このことを知らない、新しい世代がこの映画から学んでくれることを祈っています」と、改めて切実な願いを語った。
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