彼女の心はなぜ壊れてしまったのか――女性の生きづらさ描く「82年生まれ、キム・ジヨン」予告編
2020年6月18日 11:00

[映画.com ニュース] 韓国で累計発行部数130万部を突破し、社会現象を巻き起こしたベストセラー小説を映画化した「82年生まれ、キム・ジヨン」の予告編とポスタービジュアルがお披露目された。映像では、「韓国の82年生まれの女性で最も多い名前」を持つ主人公“ジヨン”が抱える女性の痛みや生きづらさが静かに、そして切実に語られている。
チョ・ナムジュ氏の原作小説は、日本でも翻訳本が2018年12月に刊行されると、たちまち共感の声が広がり、発売2日目にして重版が決定。大型書店で品切れが続出するなど、累計発行部数16万部を記録し異例の大ヒットとなった。ジヨンの少女時代から結婚、出産に至るまでの人生を通し、韓国のジェンダー意識に関わる現代史や社会問題を織り交ぜながら、女性が負う重圧が描かれている。映画版のメガホンをとるのは、本作で長編デビューを果たしたキム・ドヨン監督。「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」などヒット作でタッグを組んできたチョン・ユミとコン・ユが、3度目の共演で初の夫婦役を演じる。
結婚と出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われていたジヨン(チョン)。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じこめられているような感覚に陥ることがあった。「疲れているだけ、大丈夫」。自分にも夫デヒョン(コン)にもそう言い聞かせるジヨンだったが、やがて、まるで他人が乗り移ったような言動をとるようになる。その時の記憶がすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くなり、真実を告げられない。
予告編は、新婚のジヨンとデヒョンの何気ない会話でスタート。そしてジヨンのこれまでの人生を追いながら、女性であれば誰もが一度は感じたことのある“違和感”が確実に映し出される。彼女の心はなぜ壊れてしまったのか--その言葉を境に、ジヨンが違和感のつきまとう日々の中で、たったひとりで抱えてきた“痛み”が一気に溢れ出す。一方のデヒョンも、妻を追いつめてしまったのは自分なのではないかと苦悩する。ジヨンの不安げで必死な表情が胸をかきむしるが、絶望を抱えながらも「全力でいきますよ」と笑顔を見せる彼女に、一筋の希望を感じられるような映像となっている。
ポスターには、柔らかい表情を浮かべるジヨンと、彼女を支えるかのように優しい眼差しを向けるデヒョンが切り取られている。「大丈夫、あなたは一人じゃない。」という言葉が、誰かの妻で、母で、娘である“あなた”に投げかけられている。
「82年生まれ、キム・ジヨン」は、10月9日から東京・新宿ピカデリーほか全国公開。
(C)2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
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