劇場の重要度が低下? ディズニーが事業計画を再検討
2020年5月7日 15:00
[映画.com ニュース] 新型コロナウイルス感染拡大の影響で北米を中心に世界中の映画館がほぼ全面閉鎖となっている現状をめぐり、ハリウッドのスタジオ各社が対応策の検討を迫られるなか、業界No.1を独走している米ウォルト・ディズニーも戦略の見直しを図る構えのようだ。米バラエティが伝えている。
株主・投資家向けの電話収支報告に臨んだ同社のボブ・チャペック新CEOは5月5日(現地時間)、「7作品が世界興収10億ドル超えの大ヒットを記録した2019年度の実績が物語るとおり、我が社はとりわけ大作映画に関して劇場公開の意義や重要性、収益性を高く評価しています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大によって大半の劇場が営業休止となっている、また、営業再開後も様々な規制により、我々が望む規模の収益は見込めないという状況を鑑み、戦略全体を見つめ直す必要があるとも考えています」と、自社作品のリリース形態を含めた事業計画を再検討する方針を示した。
ディズニーは、米国内の映画館が全面的にシャットダウンされたことを受け、5月29日に全米公開予定だったケネス・ブラナー監督のSFファンタジー巨編「アルテミスと妖精の身代金」の劇場公開をとりやめ、自社のストリーミングサービス「Disney+」での独占配信に踏み切っている。
しかし、そのほかの大作映画については公開日を延期したのみで、あくまで劇場公開する姿勢を貫いている。チャペックCEOは、「コロナ禍の収束後も、作品ごとにリリース形態を検討するといったケースバイケース方式で柔軟に対応していくつもりですが、興行で確実な収益が見込める大作についてはすべて、今年後半に劇場公開します」と宣言した。
劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会は、米国内の劇場に関して5月末には営業再開との予測を立てていたが、実際はテキサス州の2都市で数館が営業を再開したのみで、AMC、リーガルシネマズ、シネマークの3大シネコンチェーンをはじめとするほぼすべての映画館は、再開に向けた動きすら見せていない。
遅くとも7月には営業が再開するという大方の予想に従い、ディズニーは、7月24日公開予定の実写版「ムーラン」を皮切りに、ジェームズ・バッジ・デール主演の超常現象ホラー「The Empty Man(原題)」を8月7日、ベストセラー児童小説「世界一幸せなゴリラ、イバン」を実写とCGの融合で映画化する「The One and Only Ivan(原題)」を8月14日に、それぞれ全米で劇場公開するほか、11月6日にはファン待望のマーベル・スタジオ最新作「ブラック・ウィドウ」の公開が控えている。
チャペックCEOの言う「ケースバイケース方式」が、ディズニー作品の今後にもたらす影響については、時が経たなければ分からないとはいえ、同社が劇場を完全に無視したVODのみでの作品公開を視野に入れていないことだけは確かだ。
先日、米ユニバーサル・ピクチャーズが「シアトリカル・ウィンドウ」(映画作品の劇場公開開始から二次使用開始までの期間)を3カ月設けるという米興行界の暗黙のルールを破り、新作アニメ「トロールズ ミュージック★パワー」を全米公開予定日だった4月10日からプレミアムVODとしてレンタル販売。営業再開後も、劇場とVODの両フォーマットで映画を公開していくと宣言したことで、シネコンチェーン最大手のAMCとリーガルシネマズから今後の同社の作品上映をボイコットされたばかり。興行主との摩擦を避けるべく、スタジオ各社に慎重な判断が求められることになりそうだ。
PR
©2024 Disney and its related entities
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。