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「攻殻機動隊 SAC_2045」田中敦子×大塚明夫×山寺宏一 収録の変化と変わらない芝居

2020年4月22日 19:00

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取材に応じた、山寺宏一、田中敦子、大塚明夫(左から)
取材に応じた、山寺宏一、田中敦子、大塚明夫(左から)
(C) 士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

[映画.com ニュース] 4月23日から、Netflixで世界独占配信がスタートする「攻殻機動隊 SAC_2045」。「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズの神山健治、「APPLESEED」シリーズの荒牧伸志のダブル監督で、フォトリアルな3DCGによる新たな「攻殻機動隊」が紡がれる。

「少佐」こと草薙素子役の田中敦子、バトー役の大塚明夫、トグサ役の山寺宏一にビデオ通話で取材を実施し、役への向き合い方や収録の様子などを聞いた。3人の軽妙なやりとりは、それぞれが演じる公安9課メンバー同士の小気味よい会話のようで、笑いのたえない取材となった。(取材・文/編集部)

――本作の出演が決まったことを知って、どう思われましたか。

大塚:楽しかったです。

山寺:うれしかったです。

田中:どうしよう……面白かったです。

一同:(笑)。

山寺:小学生の感想じゃないんだから(笑)。でもまあ、とにかくそういう気持ちですよね。ストレートに最高な気持ちでした。

大塚:住みなれた昔懐かしい町に、みんなで帰ってきた気分でした。

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――それぞれのキャラクターを久しぶりに演じて、どんなことを感じられたでしょうか。

田中:草薙素子への向き合い方は、最初に演じた「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995)から25年間、変わっていないと自分では感じています。作品によって時代や設定の変化はありますが、その状況に応じた素子を演じるだけで、基本の部分は変わっていないといいますか。本作でも、私たちをキャスティングしていただいた意味を考えると、これまでと同じ心構えで演じていけばいいのだろうと思いながら臨みました。

大塚:全員そろって芝居のやりとりをするなかで、作品の色合いみたいなものがつくられていくんじゃないかな、という気がしています。「今回のバトーはこうつくる」みたいに、演者がそれぞれのキャラクターにこだわっていくよりも、全員が束になって作品の世界観を構築していければいい。僕自身、バトーを細かくいじっていく感覚はあまりなくて、現場で皆さんと芝居をあわせていくなかで、良い落としどころが見つかっていく側面が大きいです。
バトーを長年演じてきて、自分の肉体に刻んできた時間の流れのようなものが、キャラクターに映りこんでいく感覚もあります。すべてが映りこまないほうがいいのだけれど、映りこませなきゃいけない部分もあって非常に難しいんですけどね。

山寺:明夫さんがおっしゃったとおり、みんなで演じてつくっていく感覚がありますし、トグサは演じているという感覚があまりないんです。彼は少佐のことを本当に尊敬していて大好きで、バトーのことは頼りになる相棒として兄のように慕っている――。

大塚:フフフ(笑)。

山寺:これって明夫さんとの関係にちょっと近いなあと(笑)。長く演じていくなかで、声もつくらず普通にしゃべっていますし、演じていて僕自身にいちばん近いのは、トグサとカバオ(※「アンパンマン」)なのではないかと思っているぐらいです。

田中:トグサとカバオなんだ。

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山寺:それぐらい大好きで愛着のあるキャラクターなんです。トグサは自分なりの正義感があって、公安9課のなかではもっとも生活感があって人間くさい。そこは本作でも変わっていなくて、唯一変わったのは離婚してたっていうことですね。僕のことじゃないですよ?(笑) トグサの話ですからね。それぐらい彼は覚悟を決めていて、最初は9課のメンバーとは別行動するところからはじまります。

大塚:トグサが己(おのれ)の仕事をまっとうして、だんだんとアメリカにいる元公安9課メンバーとの距離が近づき、もうじき会えるなって感じが、とってもいいよね。設定などからも、神山監督ならではの世界の捉え方みたいなものが伝わってきて、これぞ我らが公安9課という感じのうれしいホン(台本)でした。

山寺:トグサって、ひとりだけ別になったり、自分だけ本当のことを聞かされていなかったりすることが多くて自問自答することが多いんです。いつも何かを課せられているキャラクターで、とてもやりがいがあります。

――収録はいかがでしたか。

田中:10数年ぶりの素子ということもあり、ある種の緊張感をもってスタジオに入りましたけれども、みんなに会った瞬間、「もう大丈夫」と思いました。先輩方についていけばいいんだって。監督の神山さんと荒牧さんに委ねながら、公安9課が一丸となって今までどおりやればなんの心配もないんだと実感しました。初回は、新メンバーのツダケン(※津田健次郎さんの愛称。スタンダード役で出演)の緊張感は大きかっただろうなとは思いましたけれど(笑)。

山寺:たしかに、新メンバーは大変だろうなって感じはありましたね(笑)。

田中:とはいえ、ツダケンや潘めぐみちゃん(※江崎プリン役)とは、他の作品でもしょっちゅう顔をあわせていますし、信頼関係はすでにできあがっていましたから。

大塚:僕は、お互いの加齢を感じましたね。

田中:ひどいよお。

一同:(笑)。

山寺:田中敦子さん以外の話ですよ。おじさんたちの話です。

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大塚:そうです。この10数年って大きいんだなあと思いました。30歳から45歳なんてそう変わらないと思うんだけど、この15年ばかりは、僕もふくめてみんなたたずまいが変わるなって感じがあったんです。

山寺:9課には大先輩もいらっしゃいますからね。荒巻(大輔)役の阪(脩)さんに比べたら、我々なんてまだヒヨッコですから。

大塚:鼻垂れ小僧です。

山寺:最初はなかなかみんな一緒にそろって収録とはいかなくて、僕も別に録ることもあったんですけど、やっぱり大人数で集まって収録できたときは、すごくうれしかったですね。いざ収録がはじまると、10数年のタイムラグはほとんど感じませんでした。今回は、3DCGの動きをつくるためにアクターの方がモーションキャプチャで芝居をつけていて、そのときに声も録っているんです。だから収録時の映像では口の動きがピッタリあっていて、収録のときにその音声を参考に聞くことができました。洋画の吹替えと同じようなやり方で、そこはこれまでと大きく違うところでしたね。

田中:そうなんです。吹替えのときに使うレシーバーを用意していただいて、音声を聞く人、聞かない人、それぞれだったんですけれど。

山寺:自分の思うような芝居をしたいけれども、絵の表情や口の動きに合わせるためには聞いたほうがいいし……という。

大塚:自由感が少し減った感じがするね。

山寺:やっているとき、僕もそう思いました。でも、できあがったものを聞いてみると、みんないつもとまったく変わらない芝居になっているんですよね(笑)。そんな不思議な感じが今回はありました。

――本作は世界同時配信され、世界中のファンが同時に見ることになります。

田中:世界同時配信されるというのは、まさに時代が「攻殻機動隊」に追いついた象徴だなと……。

大塚:そうだよね。

田中:「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」が世界の皆さんに支持されて、ハリウッドで実写映画化もされ(※2017年)、今回は世界中が固唾を呑んで見守るなか新作の配信がはじまるんだなとうれしく思います。演じている側にとっても光栄で貴重な体験ですし、配信がとても楽しみです。

大塚:いっぺんに配信するのは、きっとすごく意義のあることで、それこそがネットというものの強さであり、先進性なのだと思います。収録のとき、世界に配信されることをひしひしと感じながら第一声を放っていたら、きっと硬くなってしまっていたでしょうけど、そこはみんないつもどおりです。

山寺:完成したものを拝見すると、今の時代に見るべきいろいろな要素がちりばめられていて、世界中の人に楽しんでいただける作品になっているとあらためて感じました。Netflixさんの配信で、どんどん広がっていくことを想像すると、参加した者として本当にワクワクします。

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