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「黒い司法」の逆転無罪ってどれくらいすごいの? 菊地幸夫弁護士が解説

2020年2月6日 16:00

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可能性0%からの奇跡の逆転劇
可能性0%からの奇跡の逆転劇
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

[映画.com ニュース] 冤罪の死刑囚たちのために闘う弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を映画化した「黒い司法 0%からの奇跡」が、2月28日から全国公開される。劇中で描かれる逆転無罪について、「行列のできる法律相談所」などに出演する菊地幸夫弁護士が解説を行った。

黒人への差別が根強い1980年代のアラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)を助けるため、新人弁護士のブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は無罪を勝ち取るべく立ち上がる。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる。

菊地弁護士は、無実の被告人がいたとしても「警察の捜査の後に裁判所に被告人を突き出すのは検察官だが、検察官は事件をふるいにかけ、有罪判決を取れる見込みがある事件だけを裁判所へ突き出す。だから法廷での検察官は、頭から被告人を有罪だと信じている」と前提し、刑事事件を担当する裁判官が扱う事件のなかでも、無罪の可能性がある事件は限りなく少ないことを説く。

さらに、「裁判官は、法廷に出てくる者をどうしても初めから“有罪”の目で見てしまう。検察官や裁判官だけではない。傍聴席の傍聴人にも、手錠をはめられ腰縄付き、ジャージに学校のトイレにあるようなサンダル履き、頭ボサボサで法廷に現れる被告人は、当然“悪い人”と映る」と法廷での被告人の環境を伝え、「この映画にもある通り、残念ながらどの弁護士も被告人のために全力を尽くすとは限らないのだ」と実状を語る。

無罪の可能性を諦めず争うことになっても、警察・検察という組織を相手に争う難しさがあるといい、「裁判官から絶大な信頼のある検察官が『有罪だ』と言っているものをひっくり返すには、弁護士が無罪を証明しなければならないのが現実だ。無罪となりそうな事件であっても、弁護士にその無罪を裁判官に分からせるだけの、そう、ブライアンのような熱意と頭脳がなければ無罪にはならないのだ」と、改めてその難しさを解説する。

本作のブライアンは、これに加えて新人、人種差別、依頼者はすでに死刑判決が確定してしまっているという困難が重なる。菊地弁護士は「誰がここから偉大な達成が行われると想像できるだろうか。この困難があるからこそ、この映画、私はマジで泣いた(隣の方も涙をぬぐっていた)」と、本作に感動したことを明かしている。

黒い司法 0%からの奇跡」は2月28日から公開。

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