田中裕子、蒼井優と2人1役! 沖田修一監督「おらおらでひとりいぐも」で初共演が実現
2020年1月20日 07:00

[映画.com ニュース] 第54回文藝賞、第158回芥川賞をダブル受賞した若竹千佐子氏の小説「おらおらでひとりいぐも」が、沖田修一監督のメガホンで実写映画化されることが決定。田中裕子が「いつか読書する日」以来、15年ぶりの映画主演を務め、蒼井優と初共演を果たすことになった。
55歳で夫を亡くし、息子のすすめで小説講座に通い始めた若竹氏が、主婦業の傍らに執筆した「おらおらでひとりいぐも」。現在までに発行部数50万部を突破しており、日本のみならず、韓国、中国といったアジア圏をはじめ、ヨーロッパでも翻訳版の刊行が進んでいる。63歳の新人としてスポットを浴び、 史上最年長で文藝賞を受賞した若竹氏は「『おらおらでひとりいぐも』が映画になるなんて夢のようです。ましてあの田中裕子さんが主役だなんて!! 同世代、大好きな女優さんです。桃子さんが大勢の人を介してもう私の手の届かないところに大きく羽ばたこうとしています。作者として何より嬉しいことです」と思いの丈を述べている。

物語の主人公は、75歳でひとり暮らしをしている桃子さん。1964年に上京してから55年――夫・周造と結婚し、主婦となり、2人の子どもを育て、これから夫婦水入らずの平穏な日々を過ごそうと思っていた桃子さん。そんな矢先、突然夫に先立たれ、途方に暮れていた。しかし、図書館で借りた本を読み漁るうちに、46億年の歴史に関するノートを作り、万事に問いを立て、その意味を探求するように。桃子さんの孤独な生活は、現在と過去を行き来し、いつのまにか賑やかな毎日に変わっていく。
桃子さんの人生は、3つの時代に分かれて描かれている。田中が演じるのは、75歳となった「現在」の桃子さんだ。撮影中に行った“図画工作”“音楽の時間”“体育の創作ダンス”“遠足”の思い出を振り返りつつ「遠足ではとてもお天気に恵まれてきれいに澄んだ空気の中、雑木林でどんぐりや松ぼっくり拾ったりしました。あのどんぐりや松ぼっくりも寒い冬をくぐって朽ちてゆくんだと思いますが、雑木林にはまた春がやってくるんですよね。 私も日々朽ちていくのでありますが、この歳になってこの作品に会えて、沖田監督にお会いできて、嬉しいです」と胸中を吐露する田中。「監督の撮影中の一喜一憂される姿が目に焼き付いています。私のこれからの日々に監督のあの姿を思い出してニヤニヤできる事が、私にとっての小さな春になりそうです」と語っている。

蒼井は、20~34歳の時を過ごす「娘の時代」「妻の時代」の桃子さん、現代パートでは“桃子さんの脳内の声”を担当することに。「この作品は桃子さんという1人の女性のお話ですが、映画をご覧になられる方、皆さんのお話でもあると思います。桃子さんの今に想いを馳せたり、娘、直美の言動に自分を重ね反省したりしながら撮影を進めていました。1人の人生にスポットをあてた作品でありながら、壮大で奥行きのある、ユーモア溢れた作品になっていると思います」と説明。また「オファーをいただいた時から、早くこの作品を見たくてたまりません。田中裕子さんとご一緒させていただくことも夢でしたので、世界中に自慢したいくらい幸せです」と話している。
沖田監督は「この原作をどうやって映画にするのか、企画をいただいた時、映像化が難しいと思う反面、他にないような不思議な映画になりそうだとも思いました」と述懐。「田中裕子さんとのお仕事は、毎日が刺激的で、緊張もありましたが、桃子さんの、生活の機微のようなものを撮っている時の、あの楽しさを思い返すと、とても素晴らしい時間だったと思います。また、蒼井優さんが、若い桃子さんに丁寧に向かってくださり、監督としては、もう二人の桃子さんを撮りながら、ひたすら感動していたのでした」とコメントを寄せている。
「おらおらでひとりいぐも」は、19年11~12月に都内近郊で撮影され、現在本編編集中。20年内に全国公開。
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