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たった1人で奇想天外な石の宮殿を作った男の人生とは「シュヴァルの理想宮」監督に聞く

2019年12月13日 15:00

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ニルス・タベルニエ監督
ニルス・タベルニエ監督

フランスに実在する建築物で、ひとりの男が33年もの歳月をかけ、たった1人で完成させた手作りの宮殿「シュヴァルの理想宮」についての実話を、「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」のニルス・タベルニエ監督が映画化した「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」が公開された。名もなき郵便配達員フェルディナン・シュヴァルが、石と土だけで見たこともない建築物を完成させたその情熱の源とはなんだったのか。男の半生をドラマとして描いたタベルニエ監督に話を聞いた。

--「シュヴァルの理想宮」をドキュメンタリ-ではなく、ドラマとして映画化されようと思った理由を教えてください。

1人の男が30年以上もかけて、石と土だけで娘のための遊び場を作るという発想、そのことがとてもロマンチックだと思ったのです。あれだけの宮殿を作り上げるにはものすごいエネルギーを必要とします。なぜ彼があの宮殿を造ったかについてはさまざまな説がありますが、私は彼が子供たちのために作ったということを信じています。なぜならあの場所は、観光客が来るような場所でもなく、人通りもない場所。内部は部屋で区切られたり、リビングや洗面所があるわけでもなく、本当に遊び場のようなのです。その愛情はもちろん家族のため、ということもありますが、彼のセリフにあるように、風や木、鳥など自然から受け取って与える愛、アニミズムに通じるものも存在します。

私はこれは悲劇的な物語ではなく、サクセスストーリーだと思っています。彼は88歳まで長生きしましたが、人生の中で、愛する人々が亡くなっていくのを見続けてきたのです。その観点から、人間ドラマとして描きました。

--シュヴァルは実在の人物です。この映画の中でどのようにキャラクター像を作られたのでしょうか。

両親がパン屋だというのはわかっていました。フランスでも彼について書かれた本がいくつかあり、そこから得た情報がありましたし、宮殿の修復者に取材もしました。また、彼は人生の後半、日記をつけていました。しかし、この日記には心理描写ははなく、使ったセメントの量などのメモなので、彼はこういう人物だったろう、という心理的な造形を考え、多くのことに気遣いました。ちょっとオタク気質とでもいうのでしょうか、彼は、自分の関心のあるものひとつしか興味を持つことができず、おそらくは、話すことも書くことも全部独学だったのかしれません。村の人たちいわく、彼はほとんど話をしなかったといっていますから。そういった特徴も盛り込みました。

また、宮殿に刻まれた詩句のような言葉も多くの情報になりました。僕自身も綴りを間違えるので大きなことは言えませんが、誰かが綴りを直してシュヴァルの言葉として刻んだのだと思います。

画像2(C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema
--宮殿には「西洋の妖精と東洋の妖精が出会って仲良くする」といったような意味の言葉が刻まれていますし、ヒンズー教の寺院やエジプトの神を模した装飾もあります。また、劇中でシュヴァルは、カンボジアのアンコールワットの記事に反応していました。生涯田舎町で暮らしましたが、広い世界に興味があった人物だったのですね。

彼はアジア文化にとても影響を受けていたと思います。コーランを読んだりして、異文化の教養を深めようとしていました。当時、情報を得ていたのはプチリフレという冊子で、そこにアンコールワットやピラミッドの情報があったようです。絵はがきも作っていました。彼は文化や教養を高めようと努力して、自分で何とか求めようと思っていた人。農夫でしたが、階級を超えた社会的向上心を持っていた人物だったのではないでしょうか。

--一度家を出た息子シリルが村に戻り、父の偉業を広めようと尽力する姿は感動的です。監督ご自身も、ベルトラン・タベルニエという偉大なお父様がいらっしゃいます。シュヴァルの父子関係にご自身を重ねたことはありますか?

シュヴァルは、映画的ヒーローのような部分があって、精神も肉体もとてもパワフルだと感じています。当時家長は娘からの愛情はそれほど親密に受け止めない時代だったのでしょうが、アリスは父を愛し、彼もアリスを受け止める。そういう父親は珍しかったので、当時からするとモダンな関係だったのでしょう。

私は、どの作品の登場人物にも自分を重ねる部分があります。「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」は父と息子の密接な話です。私自身、映画監督の父を持っていますが、息子もいます。ですから、どちらにも重ね合わせることができる。この映画では、父親ともう一度関係を結びたいと願うシリルの気持ち――それは普遍的なものを描きました。これまで私は長編を3本撮っていますが、いつも家族の物語です。それは偶然ではないのでしょう。

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