実写「シティーハンター」に込められた、原作への“リスペクト”――フランス人監督が語る
2019年11月28日 10:00

[映画.com ニュース] 北条司氏の人気漫画をフランスで実写映画化した「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」が、11月29日から全国公開される。監督・脚本・主演を務めたのは、コメディ映画「世界の果てまでヒャッハー!」などを手掛けたフィリップ・ラショー。来日したラショー監督に、「シティーハンター」の思い出、夢だったという映画化への思いを聞いた。
ボディガードや探偵を請け負う凄腕のスイーパー(始末屋)=「シティーハンター」ことリョウ(ラショー)は、相棒のカオリ(エロディ・フォンタン)とともに日々さまざま依頼を請け負っていた。そんな2人のもとにある日、その香りをかいだ者を虜にする「キューピッドの香水」の奪回という危険な任務が持ち込まれる。香水が悪用されれば世界は危機に陥ることは必至で、48時間というタイムリミットのなか、2人は香水を取り戻すために奔走する。

ラショー:僕が10歳くらいのとき、フランスのテレビ局が「シティーハンター」のアニメを放送してくれていたんだ。僕の世代はみんな見ていて、「シティーハンター」と共に大きくなっていった。リョウは、お茶目で愉快で愛らしいところもあるけれど、危険が迫ってくると無敵になる。当時見ていた子どもたちにとってのヒーローだったんだ。
僕が映画監督として仕事をするようになったとき、「シティーハンター」を映画化するという子どもの頃からの夢をかなえたいと思った。フランスと日本は距離もあるし、映画化権を手に入れるのも難しいと思っていたけれど、時間をかけて辛抱強く企画を実現させたんだ。
ラショー:プロテインを摂取して、トレーニングをたくさんして、8キロ増量したんだ。髪の毛の色も変えたし、リョウになりきろうとした。見た目もだけれど、「シティーハンター」の世界観を作り上げるうえで、どのシーンもできるだけ原作に忠実にしようと思ったんだ。漫画と同じカット割りにもこだわったよ。今までの作品はコメディが多かったけれど、今回はアクションが入っているから、銃の扱い方も勉強したことが僕にとってはチャレンジだった。自分をトム・クルーズだと思って演じたよ(笑)。

ラショー:海坊主を演じたカメル・ゴンフーは、格闘技の選手なんだ。海坊主に似ている映画俳優がフランスでは見つからなくてね。本当にそっくりだから満足しているよ。彼自身も「シティーハンター」を見て育っている。今回が彼にとって初めての映画撮影になったけれど、現場では子どものように目を輝かせて仕事していたよ。
ラショー:「シティーハンター」を実写化すると発表したとき、実は批判的な意見もあったんだ。フランス人が日本の漫画を実写化するのは無理だって、ネガティブな声が多かった。みんな「ドラゴンボール」がアメリカで実写化されたときのイメージが強いからね。でも、実際に完成した作品を見てもらったとき、フランス人なのにちゃんと実写化できるって見直してくれて、この映画のイメージがガラッと変わったと思う。
実写として映画化するときは、何よりも北条司先生が「シティーハンター」に込めた魂をリスペクトすることを1番重視したんだ。リョウとカオリがお互い好きあっているのにうまくいかない様子や、リョウと海坊主の敵だけれどいざというときには助け合える関係など、原作でのキャラクターの描き方を尊重したかった。
単にビジュアルだけ原作に忠実にしても、ストーリーに脈絡がなかったらいい作品にはならない。ストーリーをきちんと構築したうえで、キャラクターの関係性も描くんだ。映画作りにおいて、脚本は1番大事と言えるかもしれない。シナリオがダメだったら撮影も進まないし、北条先生も脚本を読んで「シティーハンター」の映画化を許可してくれたからね。

ラショー:やっぱり、カオリのハンマーかな。100トンハンマーは脚本のときから考えていて、絶対に入れたかった。でも、アニメみたいには入れられないから、どうしようって考えて、結局はあのシーンで登場させることにしたんだ。あとは、カラスもこだわったよ。フランスでプレミア試写をしたときに、カラスのシーンで大ウケしたんだ。
ラショー:ブラッド・ピットと撮影がしたいな。あとは、これからもずっと映画を作り続けていきたいし、「シティーハンター」の続編も作りたい。
「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」は11月29日から全国で公開。
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