ジブリ美術館、新展示からあふれる宮崎駿監督の無限の想像力・好奇心
2019年11月18日 09:00

[映画.com ニュース] 東京・三鷹の森ジブリ美術館で11月15日、新企画展示「手描き、ひらめき、おもいつき」の内覧会が開催された。
2001年10月の開館以来「お客様に面白いものを提供し、楽しんでいただく」という考えのもと、さまざまな展示企画を行ってきた同館。新展示「手描き、ひらめき、おもいつき」は、展示会を行ううえでの作業内容を、宮崎駿監督の描いた絵や文章で紹介していく。安西香月館長は「ジブリ美術館は、準備期間を入れても20年近く経っています。20年の間に企画展示を19本行い、その間に、宮崎監督や他の方々と企画を考えるなかで描きためていたものが膨大な量ありまして。この機会に、皆さんにご覧いただくものいいかなと思いました」と本展開催の経緯を説明する。
企画展示室・第一室は、第1回の企画展示「千と千尋の神隠し」など宮崎監督が携わった15の企画展示を特集し、各企画の創作過程や込められた思いを解説。第二室は、同館誕生の経緯、イメージボード、立体模型に加えて、宮崎監督の修正が入った設計図面が初公開されており、壁一面に展示された手描きの資料などを通して同館の歩みを知ることができる。また2階ギャラリーには、オリジナル短編映画作品の展示ために描いた絵、“こねこバス”に乗った気分になれる展示物を設置。映像展示室「土星座」では、展示期間中「空想の空とぶ機械達」が特別上映される予定。

スペシャルトークコーナーには、安西館長と宮崎監督と親交の深い画家・井上直久氏が出席し、本展の見どころ、膨大な展示物から見えてくる宮崎監督の作家性に至るまで話が及んだ。02年の企画展示「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」に関するブースには、炭鉱の町での追跡騒動、空に浮かぶラピュタのスケッチが展示され、「映画では語りきれなかった部分」が細部まで描きこまれている。井上氏は、炭鉱の町のスケッチを見ながら「窓の数、煙突の並びまですごく考えられているのは、宮崎さんが絵の中に入っていらっしゃるから」「『この世界は全体で見ても大きくて素晴らしく、細部を見るとまたすごいんだ』という宮崎さんの驚きとよろこびが伝わってくる」と、スケッチからあふれる宮崎監督の想像力や好奇心を称賛した。
さらに井上氏は、本展を通して「宮崎さんのアーティストとしての品格の高さ」を見たと言い、「ちゃんとしたものを作れないと自分が許せない人なんです。だから宮崎さんは本当に面白くて、本当に心が温かくなるものでないと許せないというのがある」「だがその後ろには、普通の人に対する愛情といたわり、優しい心がある。いつもそのなかでせめぎ合っている。それが、映画を作り終わった後に『もう作らない』と言う理由なんです(笑)。すごくがんばって作ったけれど、多くの人が泣いて汗を流してやってくれたから『もうこんなつらいことはしたくない』という思いが毎回出てくるんです。宮崎さんの求めるものの高さと、自分の大好きな人たちを大事にしたいという思いを、今度の展示から感じました」と力説した。
企画展示「手描き、ひらめき、おもいつき」は、2019年11月16日~2021年5月(終了時期は予定)に開催。三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制。
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