「冴えカノ」は“掛け合い”が命 安野希世乃×大西沙織×茅野愛衣が語る劇場版への感慨と収録秘話
2019年10月24日 19:00
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2度のテレビシリーズを経て、ついに完結する「劇場版 冴えない彼女の育てかた Fine(フィーネ)」(10月26日公開)。筋金入りのオタク高校生・安芸倫也(CV:松岡禎丞)が仲間たちと全精力をかけて制作する同人ゲームの2作目、そして彼を思うヒロインたちの交錯した思いは、どのような終着点をむかえるのだろうか。アフレコを終えた、加藤恵役の安野希世乃、澤村・スペンサー・英梨々役の大西沙織、霞ヶ丘詩羽役の茅野愛衣の3ヒロインに話を聞いた。
――劇場版の台本を最初に読まれたときの感想を聞かせてください。
安野:決定稿になる前の段階で、「こんな感じになりそうだよ」とシナリオを見せていただきました。「冴えカノ」関係のイベントが終わったあと、チームの皆さんと飲みにいくのが恒例になっていたのですが、あるとき、その飲み会の場で、会議ではこのように進んでいるからと紙の束をクリップで留めたものを渡され、「今この場で読んでみて」みたいな感じになりまして(笑)。
一同:(笑)。
――まるで恵のようですね。
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安野:(笑)。脚本を書かれた丸戸(史明)先生からの「ぜひこの場で読んでもらいたい」という“気持ち”を感じ、その場で読ませていただきました。飲み屋さんの隅のほうでひっそりと、お酒を片手に「うわーっ!」「嘘!」と声をあげながら読み進めていったのを覚えています。このシチュエーションで恵が動いたらすごくかわいいだろうし、倫也君とふたりのシーンでは、想像するだけで悶えてしまいそうな気恥ずかしいやりとりが満載で……。途中からは、「これを演じるときは大変だぞ、安野希世乃」と言い聞かせながら読んでいました。
大西:私も台本を読んで、「これまで以上に大変だぞ」と思いました。英梨々はテレビシリーズのときから、自分の気持ちをはげしく吐露する場面が多かったのですが、劇場版の英梨々もとにかくすごくて、「どう演じよう」と考えるだけで少し怖くなってしまったぐらいでした。
茅野:本当に“エモさ”がたくさんつまっている台本でしたよね。これをみんなで一緒にやったら素晴らしいものになることは間違いないと思っていて、あとは誰ひとり風邪を引かずに、みんなでアフレコ現場に集まれたらと願うばかりでした。劇場版は、アフレコの収録スケジュールが1年ぐらい前から決まっていたんですよ。
――そんなに前から決まっていたのですか。
茅野:「冴えカノ」は掛け合いが命の作品ですから、「メンバーがひとりも欠けることなく絶対に合わせて録りたい」との皆さんの思いがあったんです。今回は連続して2日間かけて録っていて、土日はどうしてもイベントなど他のお仕事が入ってしまうことが多いですから、音響制作の方ががんばってくださって、1年前から皆さんのスケジュールを調整されていたんです。ですから、あとは我々の体調管理にかかっているなと。劇場版「冴えカノ」は、みんなで録ることができたことがまずひとつの奇跡だと思いましたし、しかも収録はじっくりと時間をかけられましたので、満ち満ちた気持ちになれました。
大西:収録が終わった帰り、私、安野さん、松岡(禎丞)さんの3人は同じタクシーで帰ったのですが、「今日がキャラクターに命をふきこむ最後の時間だったのかな」みたいな話題になったとき、「やだ! 終わりたくない!」とダダをこねました(笑)。原作が完結することを知ったときも衝撃が走りましたが、アフレコを終えたあと、私たちも「終わりがくるのだな」と実感しました。
茅野:長い間みんなで「冴えカノ」に関わってきましたから、共演者というより、なんだか“戦友”みたいな感覚になっているんですよね。私は赤崎千夏ちゃんと同じタクシーで帰っていて、実は千夏ちゃんとはこの仕事をはじめる前のバイト仲間でもあるんです。声優の仕事をする前から一緒にいた千夏ちゃんと、「いやあ、ここまでよくやってきたよね」などと、しみじみとした話をしました。
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――収録で印象的だったことを聞かせてください。
安野:予告にもある、恵と倫也君がPCのビデオチャット上でやりとりするところは、セリフの分量がかなり多くて印象に残っています。2日間の収録のうち松岡さんと掛け合うシーンは、ふたりで濃密に録り進めていきました。それぞれの演者の時間を大事に、丁寧に掛け合いを演じさせてもらえて、とても集中できました。
大西:私はネットラジオで、「リハビリして英梨々(の声)を取り戻そう」というコーナー(※「リハビリリ」)をやっていたぐらい、ちょっと間が空くと英梨々がどこかにお出かけしてしまうんです(笑)。今回のタイミングではラジオは終わっていたのですが、収録にはスッと入っていけて「あ、よかった」と思いました。やっぱり、詩羽や恵など“対キャラクター”で掛け合っていくと、すぐに「冴えカノ」の空気感に入っていけるんですよね。これが今までつちかってきたチームの力なのだと感じました。
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茅野:詩羽先輩と倫理君(安芸倫也)との掛け合いは、テレビシリーズと変わらない感じがあって、演じていてとても楽しかったです。意味深な言い方をして倫理君を「はうん」とさせるという(笑)。詩羽先輩にとっての倫理君は、自分の小説を「面白い」と言ってくれるTAKI君(※倫也が運営するファンサイトのハンドルネーム)だった頃から変わっていなくて、彼に面白いと言ってもらえる作品を書き続けたいと思っているところは、テレビシリーズの頃から変わっていないはずです。そこを考えると劇場版では切ないシーンがたくさんあるのですが、それでもやっぱり「倫理君は倫理君だなあ」と思いつつ、倫理君も詩羽先輩自身も成長した姿をちょっと見せてくれたのかなと感じています。
――劇場版の公開を間近にひかえ、今の心境はいかがですか。
安野:関わることになって丸5年を超えた「冴えカノ」では、ラジオやイベント、コミケへの参加など、本当に楽しい経験をさせていただきました。そんな作品が物語の最後まで描かれることになるのはとても感慨深くて、うれしく思っています。
大西:「冴えカノ」は、本当に思い出がたくさんありすぎます。イベントで劇場版の発表があったときも泣いてしまいましたが、今から舞台挨拶のときはどうなるんだろうと思っています。
茅野:私も、あと何回「霞ヶ丘詩羽役の茅野愛衣です」と言えるのだろうと思うと、ちょっと切ない気持ちになります。「冴えカノ」からは本当に濃密な時間をたくさんもらえて、このメンバーだからこその「冴えカノ」だと感じることが多かったです。でも今はやっぱり、早くファンの皆さんのもとに作品が届くといいなという気持ちでいっぱいです。
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