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壁を乗り越えていく志尊淳 “官能ストーリー”で見せた覚悟

2019年8月23日 13:00

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インタビューに応じた志尊淳
インタビューに応じた志尊淳
ヘアメイク/仲田須加 スタイリスト/手塚陽介

[映画.com ニュース] 若手人気俳優の志尊淳が、井上荒野氏の連作短編集を映像化したドラマ「潤一」で主演を務めた。プライベートでは「いろいろな欲がなくなってきていて。食べるものや着る服にも、あまりこだわりがなくなってきている」と笑うが、役者という仕事においては、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」でのゲイセクシャルの美青年役や、「女子的生活」でのトランスジェンダーのヒロイン、そして本作での捉えどころのないミステリアスな青年役など、貪欲とも思える姿勢で数々の難役に挑んでいる。あらゆる壁を壊し、乗り越えていく志尊の役者魂に迫る。

日本を代表する映画監督・是枝裕和を中心に設立された制作者集団「分福」が企画した本作。女性たちを瞬時に魅了するミステリアスな青年・潤一(志尊)と、さまざまな年齢と背景の“孤独な女性たち”との、刹那の愛を描く大人のラブストーリーだ。

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女性たちの前にふわりと現れては消えていく潤一役のオファーを受け、志尊は「好奇心と意欲が沸いた」と話す。「原作を読ませていただいて、見たことがないような世界が広がっていた。これまで小説を読むときは『理解しよう』と思いながら読み進めていたんですが、『理解することだけが正解ではない』と感じました。いろいろなことを理屈で考えていた自分の感覚を改めて見直すきっかけにもなり、ぜひこの役をやってみたいと思いました」。

女性たちと体を重ねていく潤一役を演じる上で必要だからこそ、オールヌードでの初ベッドシーンにも「まったく抵抗はなかった」と告白。「センセーショナルな内容ですし、潤一という役を自分自身が演じている想像がまったくできなかった。だからこそやってみたいと思った」という。むしろ潤一という不思議な青年を具現化することが、「新たな挑戦だった」と語る。「普通だと思っていることや、概念を取っ払わないとできない役。セリフも少ないので、佇まいや、その時の空気感を大事にしなければ、潤一という役は成立しなかった。頭で考えてできる役ではないので、その点ではものすごく新しい挑戦でした。僕にできることは、全力で役に寄り添うこと。精一杯やりました」と未知へのチャレンジに充実感をみなぎらせる。

ベッドシーンを演じてみて感じたのは、「チームでの信頼感が大事」ということ。「抵抗がないとはいえ、チームの信頼があってこそできることだと思いました。本作の撮影現場は、なんだか“撮られている”という感覚がなかったんです。それは、そういった空気を作ってくださったスタッフさんのおかげ。僕、いつもはあまり人がいるところでは眠れないんですが、今回の現場では、休憩中に寝てしまって。パッと目が覚めたら、寝ている姿を撮影されていたことがあって(笑)。自然な空気、流れの中でできたのが、ありがたかったです」と感謝しきりだ。

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難役とも思えるキャラクターに果敢に向かっている、24歳。役者としての展望を聞いてみると、「先のことはあまり考えていないんです」とニッコリ。「5年後、10年後にどうなっているか。そういうことは、あまりしっかりと考えたことがないんですね。今、僕ができることを精一杯、誠実に、妥協なくやろうと思っています。仕事に対しての欲、こだわりは持って臨んでいるつもりです」と力強く語る。

“今を生きる”志尊が、役者という仕事に楽しさを感じている大きな理由のひとつは「自分の体を使って、こういう人だっている、こういう生き方だってあるんだということを表現することができる」からだ。「『挑戦的な役が多いね』とよく言われますが、僕自身はそういう意識はなくて。毎回、“ひとりの人物”を全力で演じよう、という思いでやっています」。

既成概念にとらわれず、壁を乗り越えていく志尊。「本作では『初ヌード、初ベッドシーンに挑戦』と言われていますが、僕自身、そこはあまり意識していないんです。どんなきっかけでも、まずは作品を見ていただけたらうれしいですね」と作品の素材となる覚悟を決めている姿も、清々しい限り。これからもどんな顔を見せてくれるのか、ますます楽しみだ。

なお9月~10月には、志尊の出演作「潤一 ディレクターズカット版<PG-12>」「女子的生活」などが、日本映画専門チャンネルで特集放送される。

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