トランスジェンダーの主人公がバレリーナの夢を追う「Girl」 現役トップダンサーのバレエシーン入手
2019年6月27日 13:00

[映画.com ニュース] バレリーナを目指すトランスジェンダーの主人公ララの物語を紡ぎ、第71回カンヌ国際映画祭で3冠を獲得した映画「Girl ガール」の本編映像を、映画.comが独占入手した。ララを演じたベルギーのアントワープロイヤルバレエスクールに通う現役トップダンサー、ビクトール・ポルスターの美しいバレエシーンが切り取られている。
第71回カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)、ある視点部門の最優秀演技賞、国際批評家連盟賞に輝いた本作。第76回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞にもノミネートされている。「第2のグザビエ・ドラン」と称された新鋭ルーカス・ドン監督がメガホンをとり、500人以上の候補者の中から選ばれた逸材ポルスターが主演を務めた。
男性の体で生まれたトランスジェンダーの少女ララは、バレリーナになるという夢を持っていた。夢を叶えるための道のりは平坦ではなかったが、強い意志と才能、全力で応援してくれる父に支えられ、難関のバレエ学校への入学を認められる。毎日厳しいレッスンを受け、血のにじむような努力を重ねるララ。初めての舞台公演が迫るなか、思春期の身体の変化で思い通りに動けなくなることへの焦燥や、ライバルからの心ない嫉妬により、ララは少しずつ追いつめられていく。
本編映像は、つまずきながらも一心不乱に踊り続けるララを、流れるようなカメラワークで映し出している。美しいバレエシーンの振付を担当したのは、コンテンポラリーダンス界の旗手である天才振付師、シディ・ラルビ・シェルカウイ。俳優の森山未來とタッグを組んだ公演のほか、ジョー・ライト監督作「アンナ・カレーニナ」や世界の歌姫ビヨンセ・ノウルズのミュージックビデオの振付を手掛けるなど、数々の映像作品に携わってきた。ドン監督は「彼のアドバイスのおかげでバレエシーンをどう撮影すべきか、しっかりと準備することができたんだ」と絶賛している。
思春期の葛藤や孤独を秘めたララの心情とリンクするような激しいダンスを、代役を立てずに踊りこなしたポルスター。トウシューズで踊るのは本作が初めてだったそうで「撮影までの準備期間は3カ月しかなかったので、その間ケガをしないようにトウシューズで踊るレッスンを徹底的に受けました」と裏話を明かす。「ダンスの世界では女性の方がずっと男性より苦労している。トウシューズで踊るのはとても痛いんだ。あれで女性は何時間も踊るんだから信じられないよ!」と心情を吐露した。
(C)Menuet 2018
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