プロ引退予定のジョニー・ウィアー、若手スケーターやLGBT支援に意気込み
2019年6月12日 14:00

[映画.com ニュース]英国の男子フィギュアスケート選手でオリンピック金メダリストのドキュメンタリー「氷上の王、ジョン・カリー」のトークイベントが6月11日都内劇場で開催された。同作に出演したアメリカの元オリンピック選手で、プロスケーターのジョニー・ウィアーが登壇し、作品や自身のキャリアを語った。
「ファンタジー・オン・アイス2019」出演のため来日しているウィアーは、羽生結弦らフィギュアスケーターの衣装デザインを手がけることでも知られる。神戸の大丸で自分で選んで購入したというイッセイミヤケの個性的なドレスを着こなし、流暢な日本語で挨拶すると、会場から大きな拍手が沸いた。
映画はアイススケートを芸術の域まで高めたと言われるカリーのアスリートとしての姿、世間の同性愛者に対する偏見と病魔との闘いなど知られざる光と影を、アーカイブ映像や関係者へのインタビューなどを通して明らかにしていく。
ウィアーは「ディティールに注目し、自分の感情を表現することができ、すべてを完璧にこなしていていた。この世界では、自分の存在の跡を残すのが大事。自分を持ちながら人を感動させる。衣装や音楽も彼独特の感性で選択していた」とカリーの偉業を挙げ、「カリーのような存在があったから、私も自分らしいスケートができるようになった」と明言。自身のほかにカリーの遺伝子を受け継ぐスケーターとしてステファン・ランビエールのほか、町田樹と宮原知子の名を挙げ「この世に美しいものが現れると、時間を超えて影響していく。直接ではありませんが、彼らもカリーの影響を受けていると思う」と語る。
「私がゲイであることはまったく問題なく、そのように生まれてきたのです」と公言するウィアーだが、「2006年のトリノオリンピックに出場した時、国のためにメダルをとるために臨みましたが、いろんな質問の中で、オリンピックで失敗したことよりもセクシャリティに関する質問が多かったのです。私はこの類の質問に回答することを避けませんが、自分のパフォーマンスのほうが重要だと主張してきました。メダルを獲れなかったバンクーバー五輪でもカナダのコメンテーターが、私の性別テストをするべきと言ったという話があったということは残念に思います」と、自身のセクシャリティに関心が集まる現状を憂い、「自分は強いので大丈夫ですが、強くない人たちをサポートしていきたい。ホモフォビアはまだ残っていると思う」と性差別との闘いの意志を明らかにした。
2022年にプロ引退を宣言している。「雪が降ると2週間外に出られないような小さな集落出身の人間がオリンピックに出ることができ、実績を残せて幸せに思う。これまでのすべての瞬間が貴重な経験です。年を重ね、滑って転倒すると痛みがひかなかったり、他の仕事も多忙で、練習の時間を作ることができなくなったので、この決断をしました。この道は自分だけではなく、ファンと歩んできたということがわかった。成功するときも、失敗したときも支えてくださったファンへの感謝の気持ちが膨らんでいます。やめたくない気落ちは強いですが、私が去り、若い選手たちを支えるという流れになると思います。また、自分の将来の新しい挑戦も楽しみです」と、時折涙を浮かべながら語った。
「氷上の王、ジョン・カリー」は公開中。
(C)New Black Films Skating Limited 2018
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