ヒトラーが愛した裸婦画、ナチスによる大ドイツ芸術展&退廃芸術展の映像を入手
2019年4月18日 13:00
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[映画.com ニュース]ナチスドイツにより奪われた美術品と、それに関わる人々に迫ったドキュメンタリー「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」。ナチスドイツが、美術品の略奪を繰り返していた1937年に開催した、ヒトラーお墨付きの「大ドイツ芸術展」、そして堕落とみなされ没収された作品を集めた「退廃芸術展」という対照的な2つの展覧会を映した本編映像の一部を映画.comが入手した。生前のヒトラーが、芸術の日を祝うパレードを鑑賞する様子、ヒトラーが高く評価した画家ツィーグラーの作品、ゲッベルスの指示でツィーグラーが退廃芸術として選んだ作品群も確認できる。
ナチス・ドイツはふたつの手段で芸術を支配した。ひとつはピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの傑作に「退廃芸術」の烙印を押しそれらを貶め、一方で、純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。さらに青年時代に画家志望だったヒトラーは、故郷リンツに“総統美術館”設立の野望を抱き、右腕的存在のゲーリング国家元帥と張り合うかのうように、ユダヤ人富裕層や、かのルーブル美術館からも問答無用で憧れの名品や価値ある美術品の略奪を繰り返していく。
1937年7月18日ミュンヘンにドイツ芸術の家が開館し、そこで開催された「大ドイツ芸術展」は、ヒトラー自らが企画したナチスのお墨付き展覧会。展示されたのは純粋なアーリア人による写実的で古典主義的な芸術作品で、ここで好まれたテーマは「農村の生活や田舎の風景、そして家族と母性」。裸体画をふくむ人物画の展示も多く、女性の裸婦像は“母親を刺激し、健康で美しい金髪の子どもたちをたくさん産んで、総督に捧げよ”のメッセージが込められていた。
一方の「退廃芸術展」は、その翌日同じミュンヘンの、しかも会場が数百メートル離れた会場で開催。ドイツ国内の美術館32か所からパウル・クレー、オスカー・ココシュカ、オットー・ディックス、エル・リシツキーの絵画ら、ナチスの美の概念にそぐわないとみなされた650点が没収され、"退廃芸術“の烙印を押され、しかもさらし者として配置も水平も無視したカオス状態で展示されていたという衝撃の事実が紹介されている。
青年時代に画家を目指し、ウィーン美術アカデミーを受験するが不合格になった過去をもつヒトラーが、権力は芸術をも支配できると妄信したことにより、退廃芸術の烙印を押された名画の運命のゆくえが、本編で明らかにされる。
「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」は、4月19日ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国公開。
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