斎藤工「片思いしてきた映画が少し振り向いた」 “移動映画館”への熱い思い告白
2019年3月12日 20:25
[映画.com ニュース] 第60期日本映画ペンクラブ賞の授賞式が3月12日、東京・中央区のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで行われ、同賞受賞の国立映画アーカイブ館長・岡島尚志氏をはじめ、俳優・映画監督の斎藤工(齊藤工名義で特別奨励賞)、字幕翻訳・プロデューサーのショーレ・ゴルパリアン氏(特別功労賞)らが出席した。
日本映画ペンクラブは評論家、翻訳家、監督など映画関係者で構成される任意団体で、同賞は映画界へ多大な貢献をした団体および個人に贈呈される。映画監督時に使用する本名で受賞した斎藤は、映画館のない地域に出向く移動映画館「cinema bird」の活動が評価。花束を受け取り、「普段は不貞のドラマやバイト探しばかりやっていますが、ただの映画少年です」と会場を笑わせた。
自身のライフワークと位置づける移動映画館を始めたきっかけは、「大それた理由ではなく、自分が何かあったら映画館に駆け込み、追体験や疑似体験など、自分の体験にしていく環境にいた。しかし日本でも、そういう環境にない子どもたちがいると気づき、そこの地域の子どもだったらと思って発案したんです」。海外での活動も経験したが「マダガスカルやパラグアイなど、映画文化のない地域で、生まれて初めて子どもたちが映画を体験する瞬間にも立ち会ってきました。映画という娯楽が、後進国や途上国には当たり前にはなくて、先進国の娯楽なのだと知った。映画は誰のものか。子どもたちが映画によって疑似体験をし、未来の選択肢を増やしていけるのだと、強く感じました」と述べた。
さらに「いち個人がいくらアイデアを持っても、実行するには1人では何もできない。個人の名で賞を頂いていますが、協力してくれている多くの方々の“ファミリーツリー”が受賞したものだと思っています。それは映画製作も俳優も同じで、僕は早々にいち個人でできることの限界を知り、足し算や掛け算のようにいろんなことをやろうとしてきました」と語る。そして、改めて自身を「ただの映画少年」としたうえで、「いまだにその延長線上で、進化もない。しかしさまざまな形で、多角的に映画を包囲できていると思います。片思いしてきた映画が、少し、振り向いてくれた。俳優は英語で“Actor”。行動する人という意味です。これからも僕は、論ずるより行動し、映画の可能性に自分なりに関わっていけたらと思います」と豁然大悟し、場内の拍手を浴びていた。
会員が選出するベスト映画では、邦画部門は是枝裕和監督作「万引き家族」が戴冠。プロデューサーの松崎薫氏は「ぶっちゃけ話をすると、監督からは『興行収入をあまり意識せず、好きな人にそっと差し出したい』と釘をさされていました。『派手な宣伝もするな』と。本当にそっと差し出すつもりでしたが、まさかこんなに多くの方々にご覧いただけるとは、夢にも思わなかった。監督は『作品が我々の手を離れて素晴らしい旅をした』と表現しますが、幸せな作品になったと、スタッフ、キャスト、関係者一同喜んでおります」と感無量の様子だ。フランスで次回作を編集中の是枝監督からは手紙が寄せられており、「ここで次回作の話をするのは場違いかもしれませんが、来年は外国映画部門で1位に選んでいただき、会場でもお目にかかれればと思います」とメッセージを残していた。
第60期日本映画ペンクラブ賞は以下の通り。
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