「とよはし映画祭2019」閉幕! コンペ初代グランプリは西川達郎監督「向こうの家」
2019年3月10日 22:40

[映画.com ニュース] 「ええじゃないか とよはし映画祭2019」のクロージングセレモニーが3月10日、愛知・豊橋の穂の国とよはし芸術劇場PLATで行われた。アンバサダーの松井玲奈をはじめ、オープニング作品「家族マニュアル」の内田英治監督、クロージング作品「人魚の眠る家」の堤幸彦監督と山口紗弥加、コンペティション部門の杉田成道審査委員長、本映画祭プロデューサーの森谷雄らが登壇。3年目となる今年から新設されたコンペティション部門では、西川達郎監督の「向こうの家」が初代グランプリに輝いた。
161の応募から9作品が選ばれ、期間中に上映されたコンペティション部門。グランプリを獲得した「向こうの家」は、父親の不倫を清算するため、自分の家族と不倫相手の家族という2つの家庭を行き来する息子の姿を描いた。西川監督は「お越しいただいた皆様、映画祭関係者の皆様、本当にありがとうございます」と感謝を伝え、「本作はありがたいことに、いろんな映画祭で上映して頂いているんですけど、ずっとグランプリがとれないまま悔しい思いをし続けていまして。今回こういう結果になってとても嬉しいです。昨日、森谷さんから『映画祭は出会いと再会の場所』とうかがいまして、本当におっしゃる通りだなと。この賞を励みとして、また(別の)作品で映画祭に戻ってきて、皆さんと再会できるように頑張りたいと思います」と力強い決意をにじませた。

投票による「観客賞」は、熊本県の離島・湯島に移住してきた元骨董品鑑定士と島の少女の交流を描出した、榊原有佑監督の「島のシーグラス」に決定。榊原監督は「初めてのコンペティションの、初めての観客賞を受賞したということで、今後もっと素敵な作品を作ることで『最初の観客賞があいつで良かったな』と思ってもらえるように頑張ります」と心情を吐露。審査員特別賞に当たる「とよはし未来賞」は、この日は撮影のため来場が叶わなかった西条みつとし監督の「JURI」が受賞。オカルト研究会に入部した大学生が、キャンプで経験する恐怖の物語を紡いだ。
総評を担った杉田審査委員長は「161作品もの応募があったことは、瞠目していいことだと思います。それは、映像作家の裾野が広がりつつあるということ」と考えを述べ、「今回はどの作品も優劣がつけがたい秀作が多くて、全て骨格がしっかりしていました」と振り返る。さらに、「とよはし映画祭にこれだけの作品が集まったということは、これからも(この状態を)持続させることが重要。私たちには、映像作家の育成を次の世代にバトンタッチするという使命があると思います。コンペが長く続くことを切にお願いいたします」と願いをこめた。

3年連続のアンバサダーを務め、映画祭に不可欠の存在となった松井は「3年目になりまして、たくさんの方に来ていただくことができて、嬉しく思っています。大きな映画館はあるんですけど、そこでは見られない作品も映画祭では見ていただけるので、来年は今年以上に様々なジャンルの作品を上映してもらえるように、私も森谷さんと宣伝活動を頑張っていきたいと思います」と次回のビジョンを語り、会場は拍手に包まれた。
最後に、恒例となったムチャぶりでの「締めの挨拶」は、愛知県出身の堤監督に託された。堤監督は「作品を作るということは、人との触れ合いの中で生まれること。特に東海地方では『東海アクション』という地域振興のグループを作っておりまして。そういう触れ合いからいろんな作品の芽が出ると思いますので、まだまだ頑張りたいと思います」とメッセージを残した。同じく突然指名された山口は、コンペティション部門の受賞者を見ながら「今回惜しくも(グランプリに贈られる)現金50万円は逃してしまいましたが……」とジョークを飛ばしつつ、「新しい作品とともに、また戻って来られる役者になりたいと思います」と誓う。最後は登壇陣全員で「ええじゃないか!」と閉幕を宣言し、3日間にわたり行われた映画祭を締めくくった。
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