自由自在の衣装&撮影、E・ストーンのヌード秘話 町山智浩が語る「女王陛下のお気に入り」の真髄
2019年1月30日 12:00

[映画.com ニュース]第91回アカデミー賞で作品賞をはじめ9部門10ノミネートを果たした「女王陛下のお気に入り」のトークイベントが1月29日、都内で行われ、映画評論家の町山智浩氏が登壇した。
本作は、18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性の入り乱れる愛憎を描く人間ドラマ。第91回アカデミー賞では、女王アンを演じたオリビア・コールマンが主演女優賞、女王に仕えるアビゲイルを演じたエマ・ストーンとレディ・サラを演じたレイチェル・ワイズがそれぞれ助演女優賞にノミネート。ランティモス監督も監督賞候補となり、「ROMA ローマ」と並び最多10ノミネートとなった。
本作が「イヴの総て」(ジョセフ・L・マンキウィッツ監督)、「召使」(ジョセフ・ロージー監督)の影響を受けていると分析した町山氏は、作品の内容にちなみ“貴族のコスプレ”で登場。まず着目したのは「多分アカデミー賞を獲るだろう」と絶賛した衣装だ。「どう凄いかというと、時代考証、歴史を無視している点。化繊、デニムなど、当時は存在しなかった生地を使っていますよね。そしてほとんどの衣装が黒か白で統一されている」と自由自在さを指摘する。さらに「男性はド派手でメイクををほどこしているが、女性たちは基本的にすっぴんなんですよね。男と女が完全に逆転している世界」と語っていた。

次に気になった点は、撮影の手法だ。「ほとんどのシーンで魚眼レンズを使用しています。ヨルゴス・ランティモス監督は『全てのシーンを変に撮れ』と指示したようです。でも美しかったですよね。フェルメールの絵画のような、ほとんどのシーンがそのまま絵になるような素晴らしい撮影です」と話し、「全シーン照明を入れず、自然光で撮影をした」「実は低予算映画。背景が豪華に見えますが、あれは単に本物の宮殿を借りている」という事実を紹介した。さらに“下から見上げる”というカメラポジションが多いことに関して「ハリウッド映画は、意図的な場面以外、ほとんと下から見上げるシーンがないんです。それをやっていたのは、自分を巨大に見せようとしたオーソン・ウェルズだけですね。これは美的な理由ではなく、下から撮ると上にある機材、つまりライティングや(集音用の)マイクが映ってしまうから。本作はライティングなしでの撮影なので、下から撮れるんです」と説明していた。
「普通だったらホラーになるところを、全てお笑いにしてしまうところがランティモス監督の意地悪なところ。こういう映画はスピルバーグには撮れないですよ(笑)」と熱弁をふるう町山氏は、ストーンに関する裏話も披露。ストーンの裸体をワイズが目撃するシーンに関して「あそこはエマ・ストーンが『私、脱ぎます!』と言って脱いじゃったんです。かなり気合が入っていた。レイチェル・ワイズがその裸を見て後ずさりするんですが、あのリアクション、実はリアルなもの。ワイズは、ストーンが裸でいるということを聞かされていなかったようなんです」と“ドッキリ”が仕掛けられていたことを明かしていた。
「女王陛下のお気に入り」は2月15日から全国公開。
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