ネット配信時代の新たな資金調達手法が海外目指すコンテンツ制作者を支援
2018年10月25日 16:30
[映画.com ニュース] アジア最大級の国際コンテンツ見本市「JAPAN CONTENT SHOWCASE 2018」が10月22日から25日まで池袋と渋谷で開催され、24日にセミナー「コンテンツ配信の現状と新たな資金調達手法」が池袋会場のサンシャインシティワールドインポート内で行われた。
セミナーには、インターネット配信事業者とそこで配信されるコンテンツに対する資金供給を行う事業者、さらにコンテンツ制作資金調達とそのためのスキーム構築に精通した専門家がパネリストとして登壇。それぞれの立場からコンテンツ配信の現状や展望を説明し、配信事業者とのプリセール契約(制作前のコンテンツ販売)を前提として制作資金を供給するブリッジファイナンス(つなぎ融資)をはじめとする新たな資金調達の可能性について議論した。
AbemaTVの工藤良真氏は、コンテンツの制作者にスポットを当てた新番組の企画趣旨や同番組で行うコンテンツ募集「AbemaTVオープン化コンテンツプログラム」(OCP)などについて説明。OCPでは、従来の枠組みに囚われない斬新な企画や、熱狂を生むヒットコンテンツを年内に募集。AbemaTVが提供する配信枠と制作予算を活用して、来年年明けからコンテンツの企画、制作、話題化までをプロデュースしてもらい、メガヒットレギュラー番組を生み出そうというプロジェクトだ。応募された作品を10作品まで絞り、番組内で最終的に1作品を選定、来年春に公開する。
また、電通/ジャパンコンテンツファクトリー(JCF)の宋田昭彦氏とよしもとクリエイティブ・エージェンシー/JCFの山地克明氏は、海外展開を目指す日本の映像コンテンツ制作を支援するファンドを運営するJCFの設立について、Netflixオリジナルドラマ「火花」の制作資金の調達がきっかけだったと説明。ここ数年で映像配信サービスの世界市場規模が拡大したことで、映像コンテンツの輸出入の概念が大きく変わったことから、多様な才能を持ったクリエイターや制作会社が世界に向けたコンテンツを制作できるようにスピーディな資金調達を目指していく。運用総額は53億円で、この秋から本格運用を開始する。
コンテンツ流通において、劇場配給やパッケージ販売に代わって、ネット配信が活発化してきているが、公認会計士・税理士でビズアドバイザーズ代表の上住敬一氏は、「今までの製作委員会方式とは違った資金調達の仕組みができてくる」とし、ブリッジファイナンスの仕組みとその重要性について説明。会場には多くのクリエイターや制作会社の関係者がつめかけた。