【独占手記其の一】塚本晋也「斬、」と共に世界へ
2018年8月29日 19:00

塚本晋也監督が初めて手がけた時代劇映画「斬、」の全貌が、もうじき明らかになる。第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門を皮切りに、第43回トロント国際映画祭マスターズ部門にも選出が決定。映画.comでは今後、塚本監督の独占手記を展開する。縁の深いベネチアでの一挙手一投足、トロントでの日々を含め、塚本ワールド紐解いていく。まずは主演に池松壮亮、ヒロインに蒼井優を迎えた今作を製作するに至った胸中を綴ってもらった。
一本の刀を過剰に見つめる若い浪人、というアイデアを20年以上持ち続けた。
「野火」という戦争映画を戦後70年の年に放ち3年が経ったが、時代に対する不安は消えず、叫びのような感覚が起こった。その叫びと刀を見つめる若者の姿が重なり、「斬、」製作に踏み切った。
直接の引き金は池松壮亮さんと出会ったことだ。今という時代を繊細に体現できる池松さんこそが、時を超え、江戸の終わりに刀を過剰に見つめてしまう若者にぴったりだと思っていたので、突発的な出会いを驚き、喜んだ。夏の映画で、夏までの時間はなかったが、今作るべき映画だと思い、前のめりで転がりそうになりながらの映画作りが開始された。
蒼井優さんはプロットを書いたとき自然に浮かんできた。躊躇しないで素晴らしいと思う方からお願いするべきだと信じていたので、いちかばちかお願いすると、思いがけず早い返事をいただけた。この二人の演技のセッションが第一の見どころだ。そして「バレット・バレエ」で初めて映画に登場し、「野火」でも素晴らしい存在感を見せてくださった中村達也さんが登場する。時代劇を作るときは、ぜひこの人に、とずっと思い続けていた。
「野火」で描いたおびただしい兵器という鉄の塊が、時間をさかのぼり、一本の刀に凝縮される。すべてをそぎ落とし、人と、人を殺す道具の源流にさかのぼる。人の本能に近づくような試みとなった。叫びのような感覚に任せて作ったので、この映画がどういう映画として産声をあげたのかまだわからない。しかし、大切なものが入った、という手応えは紛れもなく感じることができた。
まずは、べネチア国際映画祭で、初めての観客に見ていただくことから始める。
(C)SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
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